第7話孫悟空より先にいた、猿の勇者ハヌマーンとの出会い(キシュキンダー・カーンダ)
シリーズ第7話。シーターを探して南へ向かうラーマとラクシュマナは、魔物カバンダと老修行者シャバリーに導かれ、風の神の子ハヌマーンと出会う。燃える火に誓って猿族の王子スグリーヴァと友になったラーマは、約束を果たすために放った一本の矢の重さを、倒れた王ヴァーリンの言葉で問われる。



















最後まで読んでくれてありがとう!
自分の力を忘れていた猿の勇者。仲間のひと言で目覚め、海を一跳びで越えていく。
シリーズ第7話。シーターを探して南へ向かうラーマとラクシュマナは、魔物カバンダと老修行者シャバリーに導かれ、風の神の子ハヌマーンと出会う。燃える火に誓って猿族の王子スグリーヴァと友になったラーマは、約束を果たすために放った一本の矢の重さを、倒れた王ヴァーリンの言葉で問われる。



















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自分の力を忘れていた猿の勇者。仲間のひと言で目覚め、海を一跳びで越えていく。
この話のもとになった神話
魔王ラーヴァナにさらわれた妻シーターを探して、王子ラーマと弟ラクシュマナは南の森へ進みます。そこで二人は、頭がなく、胴に口と大きな一つ目がある魔物カバンダの長い腕に捕まります。兄弟がその両腕を切り落とすと、カバンダは、もとは美しい姿だったのに、仙人を脅かした呪いとインドラ神の一撃でこうなったのだと語ります。
兄弟が亡骸を火葬すると、カバンダは炎の中から天上の姿で現れます。そして「兄ヴァーリンに追われてリシャムーカ山に隠れている猿のスグリーヴァと友になりなさい」と勧め、パンパー湖への道を教えて天へ去りました。途中、二人はマタンガ仙の庵で修行女シャバリーに会います。シャバリーは師たちから「ラーマが来る」と聞かされてずっと待っており、森の食べ物でもてなしたあと、火に入って天界へ昇っていきました。
春のパンパー湖で、ラーマはシーターを想って深く嘆きます。武器を持った二人の姿を見たスグリーヴァは、兄の刺客ではないかとおびえ、家臣ハヌマーンを様子見に出します。ハヌマーンは修行者の姿で近づき、ラーマはその言葉づかいや声の見事さに感心します。事情を知ったハヌマーンは猿の姿に戻り、二人を背中に乗せてスグリーヴァのもとへ運びました。
ラーマとスグリーヴァは、ハヌマーンがおこした火のまわりを歩いて友情を誓います。スグリーヴァは、空から落ちてきたシーターの装身具を見せ、ラーマはそれを抱いて泣き崩れます。スグリーヴァは、兄ヴァーリンに国と妻を奪われたいきさつを語りました。ラーマは一本の矢でサーラ樹を7本射抜いて力を示します。
最初の兄弟の一騎打ちでは、二人がそっくりで見分けがつかず、ラーマは矢を射られません。二度目は目印の花輪をスグリーヴァにかけさせ、ラーマは木陰からヴァーリンを射ました。倒れたヴァーリンは「隠れて射るのは正しい戦い方か」とラーマを責めます。ラーマは、国を治める王家の法として、弟の妻を奪った罪を罰したのだと答えます。ヴァーリンは最後に納得し、息子アンガダと妻ターラーのことを託して亡くなります。その後スグリーヴァが王に、アンガダが皇太子になり、ラーマは雨季が明けるまで山で待つことにしました。
『ラーマーヤナ』は、古代インドで詩人ヴァールミーキが作ったとされる叙事詩で、全7巻のうちこの部分は「キシュキンダー・カーンダ(猿の国の巻)」と呼ばれます。火を証人にして誓う場面には、火を神聖なものとする古代インドの考え方が表れています。
また、ヴァーリンの死は「ラーマのやり方は正しかったのか」と、昔から議論されてきた場面です。原典はラーマの答えとヴァーリンの納得を描いていますが、読む人によって受け止め方はさまざまです。約束を守ること、友のために力を使うことの重さを考えさせる物語だといえます。
なお、ハヌマーンが『西遊記』の孫悟空のモデルになったという説もあります。一方で、中国にもとからあった猿の伝説がもとだという説もあり、はっきりとはわかっていません。
漫画では、原典の流れを守りながら、読みやすくするための工夫をしています。パンパー湖でのラーマの長い嘆きや、カバンダの身の上話、ヴァーリンとスグリーヴァの過去の争いは、短い場面や回想にまとめる形で描いています。ヴァーリンとラーマの問答も要点にしぼり、どちらが正しいかは決めつけず、二人の言い分を並べて見せています。
一方、ハヌマーンが二人の気高さに心を動かされる表情や心の声、登場人物の顔立ちや衣装、森や湖の景色は、原典に細かい描写が少ないため、漫画オリジナルの表現です。シャバリーは「老女」として描かれることが多いですが、これは広く知られた言い伝えによるものです。また、シャバリーが木の実をかじって甘いものだけをラーマに渡す有名な話は後の時代の伝承で、ヴァールミーキの原典にはありません。ハヌマーンが兄弟を両肩に乗せる姿もよく絵に描かれますが、原典では「背中に乗せて」運んでいます。
第7話では、孫悟空よりずっと昔から語られてきた猿の勇者ハヌマーンが、ついに物語に登場します。修行者の姿から猿の姿へ変わる場面や、ラーマが放った一本の矢の重さを、絵でじっくり味わってみてください。この漫画は全話無料・会員登録なしで読めます。あらすじを知ったうえで読むと、人物の表情やせりふの意味がより深く伝わるはずです。
インドの叙事詩『ラーマーヤナ』に登場する猿の勇者で、風の神の子とされます。知恵と言葉の巧みさ、力をあわせ持ち、ラーマの旅を助けます。インドでは今も神として広く信仰されています。
ハヌマーンが『西遊記』の孫悟空のもとになったという説があります。ただし、中国にもとからあった猿の伝説がもとだという説もあり、はっきりとはわかっていません。
ラーマは猿の王子スグリーヴァと友情を誓い、兄ヴァーリンに奪われた国と妻を取り戻す手助けを約束したからです。ラーマは、弟の妻を奪った罪を罰したと説明しています。
『ラーマーヤナ』全7巻のうち4番目の巻で、「猿の国キシュキンダーの巻」という意味です。ハヌマーンとの出会い、スグリーヴァとの盟約、ヴァーリンの死などが語られます。
この点は、昔から議論されてきた場面です。原典ではヴァーリン自身がラーマを責め、ラーマが理由を答えて、最後はヴァーリンが納得しますが、受け止め方は読む人によって分かれています。