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第1話兄がのこした、たったひとつの勝ち方神武東征

シリーズ第1話。いつも兄イツセの半歩後ろを歩いてきた弟イワレビコ。朝日に向かって戦い、矢に倒れた兄から「日を背にして撃て」という最後の作戦を託され、初めて自分で道を選ぶ。

19ページ全話無料・会員登録なし

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この話のあらすじ

『古事記』は上・中・下の三巻に分かれています。上巻は神々の時代の話で、中巻からは天皇の時代に入ります。その中巻の最初に置かれているのが、カムヤマトイワレビコ(神倭伊波礼毘古命)の東への旅、いわゆる「神武東征」です。 イワレビコは、天から降りてきたニニギの子孫にあたります。のちに初代の天皇・神武天皇とされる人物で、この旅は「神の時代」と「人の時代」をつなぐ橋のような物語になっています。

原典古事記 中巻 ―英雄たちの時代― — 日本 · 712年

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この話のもとになった神話

神武東征のあらすじ|イツセの死と「日を背に」の教え【古事記】

ひとことで言うと: 神武東征は、日向にいたカムヤマトイワレビコ(のちの神武天皇)が兄イツセとともに東へ向かい、大和の地で即位するまでの、『古事記』中巻の物語です。途中、兄イツセはナガスネビコの矢に傷つき、「日の神の子が日に向かって戦ったのがよくなかった。回りこんで日を背にして戦え」と言い残して亡くなります。弟は熊野をまわり、八咫烏に導かれて大和へ進みます。

神武東征とは?古事記中巻のはじまり

『古事記』は上・中・下の三巻に分かれています。上巻は神々の時代の話で、中巻からは天皇の時代に入ります。その中巻の最初に置かれているのが、カムヤマトイワレビコ(神倭伊波礼毘古命)の東への旅、いわゆる「神武東征」です。

イワレビコは、天から降りてきたニニギの子孫にあたります。のちに初代の天皇・神武天皇とされる人物で、この旅は「神の時代」と「人の時代」をつなぐ橋のような物語になっています。

元の神話のあらすじ

日向の高千穂の宮にいたイワレビコと兄のイツセ(五瀬命)は、国をおさめるにはどこがよいかを話し合い、東へ行くことを決めます。二人は豊国の宇沙、筑紫の岡田宮、安芸の多祁理宮、吉備の高嶋宮と、何年もかけて少しずつ進みました。途中の海では、亀の背に乗った男が現れ、道案内を引き受けます。

やがて一行は難波から上陸しますが、そこで登美のナガスネビコ(那賀須泥毘古)の軍が待ちかまえていました。この戦いで、イツセは手に矢を受けてしまいます。イツセは「自分たちは日の神の子なのに、日に向かって戦ったのがまちがいだった。これからは遠回りして、日を背にして攻めよう」と話します。一行は南へ回りこみますが、紀の国の男之水門で、イツセは悔しさの声をあげて亡くなりました。

兄を失ったイワレビコは熊野へ入ります。そこで大きな熊が現れて消え、イワレビコも兵たちも気を失ってしまいます。そこへ熊野の高倉下(タカクラジ)が一本の大刀を持ってきます。天の神々がタケミカヅチの剣を下したものでした。イワレビコが目を覚まして大刀を受け取ると、熊野の荒ぶる神たちはひとりでに切り倒されました。

さらに天の神タカギの神(高木大神)は、八咫烏を道案内に送ります。イワレビコは烏のあとについて吉野・宇陀へと山を越え、各地の勢力を従えながら進みました。最後に、ニギハヤヒ(邇芸速日命)が天の神の子のしるしを差し出して仕えることになり、イワレビコは畝傍の橿原の宮で天下をおさめた、と語られます。

主な登場人物

中心にいるのは弟のイワレビコと兄のイツセです。旅を決めるのは二人ですが、最初の大きな戦いで兄が倒れ、そこから先は弟ひとりで一行を率いることになります。

敵として立ちはだかるのがナガスネビコ、熊野で助けてくれるのがタカクラジ、そして道を示すのが八咫烏です。どの人物も出番は短いのですが、それぞれが旅の分かれ道で大切な役目を果たします。

この神話が伝えていること(文化・時代の背景)

イツセの言葉には、「天皇家は日の神アマテラスの子孫だ」という考えがはっきり表れています。日に向かって戦うのは自分の祖先にそむくことだから負けた、日を背にすれば日の力が味方になる、という考え方です。

また、熊野で倒れた一行が天からの大刀で目覚め、烏に導かれる場面は、人間の力だけでは進めないところを神々が助けた、という形になっています。天皇の国づくりは天の神々に認められたものだ、と示す役目があったと考えられています。なお、この物語が実際にあった出来事かどうかは確かめられておらず、古代の人々が伝えた神話・伝承として読むのが一般的です。

漫画版で変えたところ

漫画では、「いつも兄の半歩後ろを歩いてきた弟」というイワレビコの性格づけと、兄弟の関係を軸にしています。原典には二人の心の中や細かな会話はほとんど書かれていないので、ここは漫画で足した部分です。

また、イツセの「日を背にして戦え」という言葉を、弟へ託す最後の作戦として描いています。原典では、この言葉は矢を受けた直後に語られ、イツセが亡くなるのはそのあと紀の国に回りこんでからです。兄の言葉の中身は原典どおりですが、場面の見せ方は漫画の演出です。

漫画で読むには

Manga Portal の『古事記 中巻 ―英雄たちの時代―』第1話では、兄を失った弟が、はじめて自分の足で道を選ぶまでを描いています。あらすじを読んだあとに漫画で見ると、「日を背にする」という一言の重みがぐっと伝わってくるはずです。全話無料・会員登録なしで読めるので、続く熊野や八咫烏の話もあわせて楽しんでみてください。

この話の登場人物

カムヤマトイワレビコ(かむやまといわれびこ)
のちの神武天皇。兄とともに日向から東へ向かい、兄の死のあと一行を率いて大和で即位する。
イツセ(いつせ)
イワレビコの兄(五瀬命)。ナガスネビコの矢で傷つき、「日を背にして戦え」と言い残して紀の国で亡くなる。
ナガスネビコ(ながすねびこ)
登美の地の豪族。難波に上陸した一行を迎え撃ち、イツセに矢傷を負わせる。
タカクラジ(たかくらじ)
熊野の人(高倉下)。天の神々から下された大刀を届け、倒れた一行を目覚めさせる。
八咫烏(やたがらす)
天の神タカギの神が送った大きな烏。熊野から大和へ向かう山道でイワレビコを導く。
ニギハヤヒ(にぎはやひ)
天から降りていた神。天の神の子のしるしを差し出し、イワレビコに仕える。

よくある質問

神武東征とはどんな話?

『古事記』中巻のはじめに出てくる、カムヤマトイワレビコ(神武天皇)が日向から東へ向かい、大和で即位するまでの物語です。兄イツセの死、熊野での危機、八咫烏の道案内などが語られます。

イツセはなぜ死んだの?

難波から上陸したところでナガスネビコの軍と戦い、手に矢を受けたためです。イツセは日の神の子が日に向かって戦ったのがいけなかったと考え、日を背にして攻めるよう言い残し、紀の国で亡くなりました。

八咫烏は何をした鳥?

天の神タカギの神が送った大きな烏で、熊野から大和へ向かう険しい山道でイワレビコの道案内をしました。現在では熊野の神の使いとしても知られています。

金色のトビ(金鵄)は古事記に出てくる?

金色のトビが弓にとまって敵の目をくらませる話は『日本書紀』のもので、『古事記』には出てきません。二つの本では神武東征の細かな内容がいくつか違います。

神武東征は本当にあったこと?

実際にあった出来事かどうかは確かめられていません。古代の人々が、天皇の国のはじまりを語るために伝えた神話・伝承として読むのが一般的です。

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