第6話目覚めたら、四人の女王に囲まれていた湖のランスロット
シリーズ第6話。並ぶ者のない騎士ランスロットは、四人の女王の誘い、名を伏せれば戦わずに済む決闘、魔女の「一度だけの口づけ」を、すべて断って切り抜ける。そんな彼がただ一人にだけ「はい」と答えた。




















最後まで読んでくれてありがとう!
1500年前の「実は最強だった下働き」。ずっとバカにしてきた案内役の乙女の態度が変わるところが見どころ。
シリーズ第6話。並ぶ者のない騎士ランスロットは、四人の女王の誘い、名を伏せれば戦わずに済む決闘、魔女の「一度だけの口づけ」を、すべて断って切り抜ける。そんな彼がただ一人にだけ「はい」と答えた。




















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この話のもとになった神話
この話は、15世紀のイギリスでトマス・マロリーがまとめた『アーサー王の死』(1485年にカクストンが出版)の第6巻「湖のランスロットの冒険」にあります。アーサー王がローマ遠征から戻ったあと、ランスロットは武芸で誰にも負けない、いちばん名高い騎士になりました。王妃グウィネヴィアは誰よりも彼を大切にし、ランスロットもほかのどの貴婦人よりも王妃を慕っていました。
ランスロットは甥のライオネルと冒険に出て、暑い昼に林檎の木の下で眠ります。そのあいだに、見張りのライオネルは強い騎士ターキンに捕らえられてしまいます。眠るランスロットを見つけたのは、モルガン・ル・フェイら四人の女王でした。誰が彼を手に入れるかで争ったため、モルガンが魔法で眠らせ、城の牢に閉じこめます。
翌朝、女王たちは「四人のうち一人を恋人に選べ。さもなくば牢で死ね」と迫ります。ランスロットは「誰も選ばない。牢で死ぬほうがよい」と答え、王妃こそ最も誠実な貴婦人だと言い切りました。食事を運ぶ乙女が「父のバグデマガス王を馬上試合で助けてくれるなら」と条件を出して逃がしてくれ、ランスロットはその約束をきちんと果たします。
次にランスロットは、ある乙女の案内でターキンの館へ行き、一騎打ちを挑みます。二時間をこえる戦いで二人とも深い傷を負いました。ターキンは「お前ほど強い相手はいない。私が最も憎むあの騎士でなければ、仲直りして捕虜六十四人も放そう」と言います。その憎い騎士とは、ターキンの兄弟を討ったランスロット本人でした。ランスロットは正直に名乗り、戦いの末にターキンを倒して、ライオネルや弟のエクターら捕虜を解き放ちます。
そのあとも冒険を重ねたランスロットは、深手を負った騎士メリオットを治すため、〈危険な礼拝堂〉から剣と亡骸を覆う布を持ち帰ります。帰り道、魔女ヘラウェスに「一度だけ口づけを」と求められますが、これも断りました。ヘラウェスは、口づけしていれば彼は死に、その亡骸を手元に置くつもりだったと明かし、まもなく悲しみのあまり亡くなります。やがて聖霊降臨祭に宮廷へ戻ったランスロットの名声は、いっそう高まりました。
中世ヨーロッパでは、騎士は強さだけでなく、約束を守ること、貴婦人に誠実であることが理想とされました。この巻のランスロットは、女王の誘いも、命を助けるという取り引きも、魔女の願いも断り、自分が決めた一人への思いと、交わした約束だけは守り通します。その姿が「最高の騎士」として描かれているのです。
一方で、王の妻を慕う騎士という関係は、のちに円卓の騎士たちが分かれて争うきっかけにもなっていきます。この巻はまだ栄光の時期ですが、後の悲劇の種がすでに見えている場面でもあります。なお「湖の」という呼び名は、彼が湖の貴婦人に育てられたという伝承から来ているとされます。
原典の第6巻には、馬上試合、巨人退治、ケイの鎧を着ての旅など多くの寄り道がありますが、漫画では「四人の女王」「ターキンとの決闘」「ヘラウェスの口づけ」の三つに絞りました。
牢の中でランスロットが王妃を思う独白、ターキンとの戦いの具体的な技や流れ、ヘラウェスの過去や礼拝堂の仕掛けのくわしい様子は、漫画で足した創作です。原典に書かれているのは、女王たちへの返事や「二時間以上戦った」ことなど、短い記述だけです。バグデマガス王の娘は原典では名前が出ないため、作中の呼び名は漫画オリジナルです。最後に宮廷でランスロットと王妃が向き合う場面も、帰還の一文をふくらませて描いたものです。
「アーサー王伝説 ―円卓の黄昏―」は、Manga Portal で全話無料、会員登録なしで読めます。この第6話では、何もかもを断ってきたランスロットが、ただ一人にだけ「はい」と答える場面までを描いています。文章で読むと短い場面も、絵で見ると騎士の迷いや覚悟がぐっと伝わってきます。あらすじを知ったうえで、ぜひ漫画でも確かめてみてください。
アーサー王伝説に登場する円卓の騎士で、『アーサー王の死』では最も名高い騎士として描かれます。武芸で誰にも負けず、王妃グウィネヴィアを誰よりも慕っていました。「湖の」という呼び名は、湖の貴婦人に育てられたという伝承に由来するとされます。
モルガン・ル・フェイら四人の女王は、眠るランスロットに魔法をかけて城の牢に閉じこめ、「誰か一人を恋人に選べ、さもなくば死ね」と迫りました。ランスロットは王妃の名を挙げてきっぱり断り、食事を運ぶ乙女の助けで逃げ出しました。
ランスロットが、ターキンの兄弟カラドスを過去に討っていたからです。ターキンはランスロットの強さを認め、相手が別人なら仲直りするつもりでしたが、名乗りを聞いて戦いを続け、最後に討たれました。
ヘラウェス自身の話では、口づけすればランスロットは命を落としていました。王妃がいる限り生きた彼は手に入らないため、亡骸をそばに置くつもりだったのです。ランスロットが断ったことで命は助かり、ヘラウェスは悲しみのあまり亡くなりました。
カクストン版『アーサー王の死』の第6巻、第1〜18章「湖のランスロットの冒険」です。四人の女王、ターキンとの一騎打ち、危険な礼拝堂の話が続けて描かれています。