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第7話ののしられても、黙って勝ち続けた台所の騎士ボーマン

シリーズ第7話。「きれいな手」とあざけられ、台所で1年こき使われた名もない若者ボーマン。案内の乙女にずっとののしられながら黒・緑・朱・藍の騎士を黙って倒し、昼には七人力になる最強の赤い騎士に挑む。

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次回予告第8話 危険な席と聖杯の光

誰も座れなかった「死の席」に座った若者は、最強の騎士ランスロットの隠し子だった。

この作品はここまで。次はこちらもどうぞ

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この話のもとになった神話

台所の騎士ボーマン(ガレス)のあらすじ|アーサー王伝説の円卓の騎士

「台所の騎士ボーマン」とはどんな話?

「台所の騎士ボーマン」は、アーサー王伝説の中でも人気のある「オークニーのガレス卿の物語」のことです。もとになっているのは、15世紀のイギリスでトマス・マロリーが書き、1485年にウィリアム・カクストンが印刷して出版した『アーサー王の死(Le Morte d'Arthur)』です。カクストン版では第7巻の第1〜35章が、まるごとこの物語にあてられています。

主人公は、身分を隠して王の台所で1年働いた若者です。家来たちに笑われ、道案内の乙女には旅のあいだずっとののしられます。それでも言い返さずに勝ち続け、最後に本当の名前と力を示します。「見た目や肩書きで人を決めつけてはいけない」というわかりやすい筋書きなので、昔から多くの人に親しまれてきました。

元の物語のあらすじ

聖霊降臨祭の日、アーサー王が海辺の城キンケナドンで宴を開いていると、背の高い美しい若者が二人の男の肩にもたれて広間に入ってきます。若者は名前も生まれも言わず、「三つの願いがある」と告げ、一つ目として1年分の食べ物と飲み物を求めました。家令のケイは「食べ物しか欲しがらないのは卑しい生まれだからだ」とばかにして、「ボーマン(美しい手)」というあだ名をつけ、台所で働かせます。ランスロットとガウェインは親切にしましたが、ボーマンは1年間、不満ひとつ言わずに台所の仕事を続けました。

次の年の聖霊降臨祭、乙女リネットが、赤い荒野の赤い騎士に城を囲まれている姉を助けてほしいと頼みに来ます。ボーマンは残る二つの願いとして、この冒険を自分に任せること、そしてランスロットに騎士にしてもらうことを求めました。乙女は「台所の小僧をよこすなんて」と怒って出ていきます。ボーマンは追ってきたケイを打ち落とし、ランスロットとも互角に戦ったうえで、ランスロットにだけ「自分はガウェインの弟、オークニーのガレスだ」と明かして騎士になりました。

旅の途中、リネットは「台所のにおいがする」などとガレスをののしり続けます。それでもガレスは盗賊や渡し場の騎士を倒し、黒・緑・赤・藍(インド)の色の武具をつけた四人兄弟の騎士を次々に破りました。やがてリネットは彼の気高さを認め、それまでの無礼をわびます。

危険の城の前には、赤い騎士アイアンサイドに討たれた約40人の騎士が木につるされていました。赤い騎士は朝から昼まで力が増していき、七人分の力になるといわれる強敵です。戦いは日暮れ近くまで続き、ガレスは一度打ち倒されますが、リネットの「姉上が見て泣いている」という叫びを聞いて立ち上がり、勝利します。ガレスは命ごいを受け入れて相手を許し、アーサーの宮廷へ送りました。その後もいくつかの試練や、兄ガウェインとの正体を知らないままの一騎打ちを経て、ガレスは城の貴婦人ライオネスと結婚することになります。

この物語が伝えていること(文化・時代の背景)

この物語の中心にあるのは、中世の騎士に求められた心がけです。ののしられても女性への礼儀を守ること、負けて降参した相手の命を助けること、手柄を自分で語らず行いで示すことなどが、ガレスの姿を通して描かれています。

名前を隠した若者が力を示し、最後に高い身分だとわかるという筋は、ほかの騎士の物語にも見られる型です。ただ、ガレスの物語にはそのまま元になったフランス語の物語が見つかっておらず、マロリーが自分で作った部分が大きいのではないかという説もあります。

また、ガレスは兄ガウェインよりもランスロットを慕っていました。この結びつきは、のちに円卓の騎士たちが分かれて争う物語の終わりの部分にも関わってきます。明るい成功の物語でありながら、王国の「黄昏」へつながる大事な一話でもあるのです。

漫画版で変えたところ・足したところ

漫画は原典の大きな流れに沿っていますが、絵と物語で楽しめるように、いくつかの場面を作り足しています。たとえば、ガレスが名前を隠した理由を本人の口から語らせているところです。原典では、名を伏せて自分の力を試したかったと読める程度で、気持ちは詳しく書かれていません。台所での1年の暮らしや、ケイとの小さなぶつかり合いも、漫画で加えた場面です。

リネットののしり方の具体的な言葉、四兄弟の騎士それぞれの戦い方や武具の形、赤い騎士との戦いの細かな流れ、ライオネスの見た目なども漫画の創作です。原典にあるのは「長い戦いになった」「昼まで力が増す」「一度倒され、リネットの叫びで立ち上がる」といった大筋までです。なお、リネットがわびるのは原典どおり赤い騎士との戦いの前に置いています。

また、原典の後半(夜の騎士、馬上試合、ガウェインとの一騎打ちなど)は大きく縮め、赤い騎士との戦いを山場にしています。正体を明かす場面も原典では少しずつ進みますが、漫画では結びにまとめつつ、ランスロットだけは最初から知っていたという点を残しています。

漫画で読むには

「アーサー王伝説 ―円卓の黄昏―」第7話「ののしられても、黙って勝ち続けた ―台所の騎士ボーマン―」では、台所で笑われていた若者が、言葉ではなく行いで周りの見方を変えていく姿を描いています。四色の騎士との戦いや、赤い騎士との死闘の迫力は、ぜひ絵で味わってみてください。

Manga Portal の作品は全話無料で、会員登録なしで読めます。あらすじを知ったうえで読むと、ガレスが黙って耐える場面の重みがいっそう伝わるはずです。前後の話とあわせて、円卓の騎士たちの物語を追ってみてください。

この話の登場人物

ガレス/ボーマン(がれす/ぼーまん)
オークニーのロット王の末の息子でガウェインの弟。名を隠して台所で1年働き、乙女の冒険を引き受けて騎士になる主人公。
リネット(りねっと)
包囲された姉を救うため宮廷に来た乙女。道中ガレスをののしり続けるが、やがてその気高さを認めてわびる。
ライオネス(らいおねす)
危険の城の貴婦人でリネットの姉。赤い騎士に城を囲まれており、のちにガレスと結婚する。
ケイ(けい)
アーサー王の家令。若者を卑しい生まれと決めつけ、「ボーマン」とあだ名をつけて台所で働かせる。
ランスロット(らんすろっと)
円卓の最強の騎士。台所のガレスに親切にし、本名を明かされて彼を騎士にする。
赤い荒野の赤い騎士アイアンサイド(あいあんさいど)
危険の城を囲む強敵。昼まで力が増して七人力になるといわれ、日暮れ近くまでガレスと戦う。

よくある質問

ボーマン(台所の騎士)とは誰のこと?

アーサー王伝説に出てくる円卓の騎士、オークニーのガレス卿のことです。名前を隠して王の台所で1年働いたため、家令ケイに「ボーマン(美しい手)」とあだ名をつけられました。

ガレスはなぜ名前を隠していたの?

原典のマロリー『アーサー王の死』では理由がくわしく語られていませんが、身分に頼らず自分の力を試したかったと読むことができます。漫画版では、その気持ちを本人の言葉で描いています。

ガレスとガウェインはどんな関係?

二人はオークニーのロット王とアーサー王の姉のあいだに生まれた兄弟で、ガウェインが兄です。ガウェインは弟だと気づかないまま親切にし、のちに正体を知らずに一騎打ちをしてしまいます。

赤い荒野の赤い騎士はなぜ強いの?

朝から昼にかけて力が増していき、七人分の力になるといわれているからです。ガレスは日暮れ近くまで戦い、一度倒されながらもリネットの叫びで立ち上がって勝ちました。

ガレスは最後に誰と結婚するの?

危険の城の貴婦人ライオネスと結婚します。道案内をした妹のリネットは、ガレスの兄ガヘリスと結婚します。

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