第1話おつかいの途中で、運命を抜いた石に刺さった剣
シリーズ第1話。兄の忘れた剣の代わりを探しに来た少年アーサーは、国じゅうの諸侯が抜けなかった石の剣をあっさり抜いてしまう。育ての父がひざまずいたとき、少年は家族の真実と、自分で王への一歩を選ぶ時に向き合うことになる。



















最後まで読んでくれてありがとう!
エクスカリバーより大事なものがあった。マーリンが「剣より鞘」と言った理由が、最終話でわかる。
シリーズ第1話。兄の忘れた剣の代わりを探しに来た少年アーサーは、国じゅうの諸侯が抜けなかった石の剣をあっさり抜いてしまう。育ての父がひざまずいたとき、少年は家族の真実と、自分で王への一歩を選ぶ時に向き合うことになる。



















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エクスカリバーより大事なものがあった。マーリンが「剣より鞘」と言った理由が、最終話でわかる。
この話のもとになった神話
イングランドの王ウーサー・ペンドラゴンは、敵対するティンタジェル公の妻イグレインに恋をします。魔術師マーリンは「生まれた子を自分に預けること」を条件に力を貸し、ウーサーは魔法で公の姿になってイグレインと一夜をすごしました。じつは公はその3時間以上前に戦死しており、ウーサーはのちにイグレインを妃にします。
生まれた男の子は約束どおりマーリンに渡され、騎士エクターに預けられて「アーサー」と名づけられました。2年ほどのちウーサーは病に倒れ、死の床で、諸侯の前でアーサーを跡継ぎと認めて亡くなります。けれども、その子がどこにいるのか人々は知らず、国は長く乱れました。
マーリンのすすめで、カンタベリー大司教はクリスマスに諸侯をロンドンへ集めます。朝のミサのあと、教会の墓地に大きな石が現れました。石の上の金床には剣が刺さり、「この剣を抜く者こそ、全イングランドの正当な生まれの王」と金の文字が刻まれていました。王になりたい者たちが試しましたが、誰も動かせません。
元日の馬上試合の日、エクターの息子ケイが剣を宿に忘れ、弟分のアーサーが取りに戻ります。宿には誰もいません。兄を剣なしにはさせられないと考えたアーサーは、墓地の剣を軽々と抜いて届けました。ケイは一度「自分が王だ」と言いますが、父に聖書にかけて誓わされ、本当のことを話します。アーサーだけが剣を抜けると確かめたエクターはひざまずき、自分は本当の父ではないと打ち明けました。アーサーは深く悲しみます。
身分の低い少年を王と認めたくない諸侯は、十二夜、聖燭祭、復活祭、聖霊降臨祭と試しをくり返させます。最後に民衆が「アーサーを王に」と声を上げ、アーサーは剣を祭壇に捧げて騎士となり、戴冠しました。そして奪われた土地を持ち主に返し、エクターとの約束どおりケイを家令に任じます。
この話のもとになったのは、15世紀のイギリスでトマス・マロリーがまとめた『アーサー王の死』です。1485年にウィリアム・カクストンが印刷して出版し、アーサー王伝説を代表する本になりました。マロリーはフランスの物語などを下じきにしており、原典の中でも「どの教会かはフランスの本に書いていない」と断っている部分があります。
王の座を決めるのが力の強さや家柄の評判ではなく、神が示すしるしだったという点に、中世キリスト教の世界の考え方が表れています。また、何度試しても結果は変わらず、最後は民衆の声が決め手になるという流れも印象的です。だれが石と剣を置いたのかは、原典には書かれていません。
原典には、アーサーやケイ、エクター、マーリンの年齢や顔立ち、話し方の描写はほとんどありません。漫画のキャラクターデザインや性格の細かな表し方は、作品のオリジナルです。剣を抜く瞬間の光や音の演出、宿に誰もいなかったときのアーサーの気持ち、墓地へ向かう道のりも漫画で足した部分です。
エクターが真実を打ち明ける場面の会話や、アーサーの嘆きの台詞も創作です(原典は「大いに嘆いた」と書くだけです)。ウーサーとイグレインのいきさつは冒頭の回想に短くまとめ、くり返される試しは見開きのモンタージュで描いています。マーリンが石と剣を用意したようにほのめかす描き方も、原典が断定していないことを踏まえた演出です。ケイを家令にする場面を結末に置いたのも、漫画の構成上の工夫です。
『アーサー王伝説 ―円卓の黄昏―』第1話「おつかいの途中で、運命を抜いた」は、兄のおつかいに出ただけの少年が、思いがけず王への道に立たされる物語です。家族の真実を知ったアーサーが、自分で一歩を選ぶ瞬間を、ぜひ絵で味わってみてください。Manga Portal では全話無料・会員登録なしで読めます。あらすじを知ったうえで読むと、原典と漫画の描き方のちがいも楽しめます。
アーサーです。国じゅうの諸侯が抜けなかった剣を、兄ケイの剣の代わりを探していたアーサーが軽々と抜きました。
マロリーの『アーサー王の死』では、のちにアーサーが湖の貴婦人からエクスカリバーを授かる場面があり、石の剣とは別の剣として読まれることが多いです。ただし同じ剣とする伝承もあり、諸説あります。
父ウーサーが魔術師マーリンと「生まれた子を預ける」と約束していたからです。マーリンは誠実な騎士エクターを選び、アーサーをその家で育てさせました。
なれませんでした。身分の低い少年を認めたくない諸侯が何度も試しをくり返させ、聖霊降臨祭に民衆が声を上げたことで、ようやく戴冠しました。
よく知られているのは、トマス・マロリーがまとめ、1485年にカクストンが出版した『アーサー王の死』の第I巻です。