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第1話名前を呼ばれても、返事をするな耳なし芳一

怪談傑作集・第一席。毎晩「高貴なお方」に呼ばれて琵琶を語る盲目の名人・芳一。泣いて聴いてくれる客の正体は、海に沈んだ一族の死者たちだった。全身にお経を書かれた夜、名を呼ばれても答えてはならない。

19ページ全話無料・会員登録なし

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次回予告 · 制作中第2話 第二席 雪女

雪の夜に命を助けてくれた美しい女。「誰にも話すな」という約束を、彼は十年守った。そしてある夜、いちばん話してはいけない相手に話してしまう。

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この話のあらすじ

七百年あまり前、下関の壇ノ浦で源氏と平家の最後の戦いがあり、平家は幼い安徳天皇とともに海に沈んで滅びました。その後も海には亡霊や鬼火が出たため、赤間関(今の下関)に阿弥陀寺が建てられ、天皇と平家の人々の墓が置かれました。この寺に住んでいたのが、目の見えない琵琶法師の芳一です。平家物語を語る名人で、とくに壇ノ浦の場面は「鬼神をも泣かせる」と言われていました。 ある夏の夜、住職が留守のあいだに、鎧の音をさせた侍が「芳一!」と呼びに来ます。「身分の高いお方がお前の語りを聞きたがっている」と言われて連れて行かれた先は、大きな屋敷のようでした。芳一が壇ノ浦を語ると、まわりの人々は声をあげて泣きます。

原典怪談傑作集 ―百物語の夜― — 日本 · 話は江戸時代〜明治の伝承。根拠にする原典の刊行は、ハーンの英語版が1902年(Kottō)・1904年(Kwaidan)、円朝の速記本が1884年(怪談牡丹燈籠)・1888年(真景累ケ淵)

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この話のもとになった神話

耳なし芳一のあらすじ|なぜ耳だけ取られた?小泉八雲『怪談』

ひとことで言うと: 耳なし芳一は、盲目の琵琶法師・芳一が平家の亡霊に呼ばれて毎晩壇ノ浦の物語を語り、住職に全身へお経を書いてもらって身を隠したものの、お経を書き忘れた両耳だけを亡霊の侍にちぎり取られてしまう物語です。原典は小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が1904年に出した『怪談(Kwaidan)』の一話「耳なし芳一のはなし」です。

耳なし芳一のあらすじ(原典の物語)

七百年あまり前、下関の壇ノ浦で源氏と平家の最後の戦いがあり、平家は幼い安徳天皇とともに海に沈んで滅びました。その後も海には亡霊や鬼火が出たため、赤間関(今の下関)に阿弥陀寺が建てられ、天皇と平家の人々の墓が置かれました。この寺に住んでいたのが、目の見えない琵琶法師の芳一です。平家物語を語る名人で、とくに壇ノ浦の場面は「鬼神をも泣かせる」と言われていました。

ある夏の夜、住職が留守のあいだに、鎧の音をさせた侍が「芳一!」と呼びに来ます。「身分の高いお方がお前の語りを聞きたがっている」と言われて連れて行かれた先は、大きな屋敷のようでした。芳一が壇ノ浦を語ると、まわりの人々は声をあげて泣きます。そして「あと六夜来るように。このことは誰にも話すな」と命じられました。

芳一が夜ごと抜け出すことに気づいた住職は、寺男たちにあとをつけさせます。雨の夜、寺男たちが見たのは、墓地の安徳天皇の墓の前でひとり琵琶を弾く芳一と、そのまわりで燃える無数の鬼火でした。屋敷だと思っていたのは、平家の墓場だったのです。

全身のお経と、耳だけ取られた結末

住職は「このままでは八つ裂きにされる」と考え、小僧と二人で芳一の体じゅうに般若心経を書きつけます。そして「呼ばれても答えるな。動くな」と言い聞かせました。

その夜、侍はいつものように芳一を呼びますが、返事はありません。お経に守られた芳一の姿は侍には見えず、見えたのは宙に浮かぶ二つの耳だけでした。侍は「主君の命令に従った証に」と、その耳をちぎって去ります。耳にだけお経が書かれていなかったのです。芳一は痛みに耐え、最後まで声を出しませんでした。

住職は自分の確認不足を深く詫びます。芳一は良い医者の手当てで回復し、この不思議な出来事が評判になって多くの人が語りを聞きに来るようになり、豊かになりました。それからは「耳なし芳一」と呼ばれるようになった、というところで物語は終わります。

この話の背景(壇ノ浦と平家物語)

物語の土台は、1185年の壇ノ浦の戦いです。平家物語では、安徳天皇の祖母・二位の尼が幼い帝を抱いて海に身を投げる場面が、最も悲しい場面として知られています。芳一の語りを聞いて亡霊たちが激しく泣くのは、自分たちの最期の物語だったからだと読むことができます。

阿弥陀寺は、明治時代に赤間神宮(山口県下関市)となり、今も安徳天皇をまつっています。また、ハーンより前の江戸時代の書物にも、よく似た琵琶法師の話が見られるとされています。ハーンは日本に伝わる話をもとに、英語で書き直して世界に紹介しました。

漫画版で変えたところ・足したところ

漫画「怪談傑作集 ―百物語の夜―」では、MangaPortal オリジナルの語り手・福来が、百の行灯の前で怪談を語り、一話ごとに灯りを一つ吹き消すという枠の物語を加えています。これは原典にはない創作で、芳一の物語の筋や結末は原典どおりです。

原典では、屋敷の中の様子や亡霊の姿はほとんど書かれていません。芳一は目が見えないため、すべてが音や手ざわりとして語られるからです。漫画では「芳一の耳に聞こえる世界」と「寺男の目に見える墓場」の二つの見え方を描き分けるなど、絵ならではの表現を足しています。芳一が語る壇ノ浦の言葉や、登場人物の顔立ち・細かなせりふも、漫画で作った部分です。

漫画で読むには

耳なし芳一は、音と静けさがこわさを生む物語です。墨の余白と効果音で描かれた漫画版では、名前を呼ばれても答えられない夜の緊張を、ページをめくりながら味わえます。Manga Portal では「怪談傑作集 ―百物語の夜―」を全話無料・会員登録なしで読めるので、あらすじを知ったうえで、ぜひ第一席から開いてみてください。

この話の登場人物

芳一(ほういち)
阿弥陀寺に住む盲目の琵琶法師で、平家物語の壇ノ浦の語りの名人。
阿弥陀寺の住職(あみだじのじゅうしょく)
芳一の才能を愛して寺に迎えた僧で、全身にお経を書いて芳一を守ろうとする。
小僧(こぞう)
住職の弟子で、住職と一緒に芳一の体へお経を書いた。
寺男たち(てらおとこたち)
住職の命で芳一のあとをつけ、墓場で鬼火に囲まれて琵琶を弾く芳一を見つける。
侍(さむらい)
芳一を毎晩迎えに来る亡霊の使いで、最後の夜に芳一の両耳をちぎって持ち帰る。
老女(ろうじょ)と殿の一行
芳一の語りを聞いて涙する身分の高い人々で、その正体は壇ノ浦で滅んだ平家の亡霊。

よくある質問

耳なし芳一はなぜ耳だけ取られたの?

住職と小僧が芳一の全身に般若心経を書いたとき、耳にだけ書き忘れたからです。お経のおかげで体は亡霊から見えませんでしたが、耳だけが見えてしまい、侍は主君への証としてその耳を持ち帰りました。

耳なし芳一の原作は誰が書いたの?

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が1904年に英語で出した『怪談(Kwaidan)』に収められた一話です。ハーンは日本に伝わる話をもとに書き直しており、江戸時代の書物にも似た話があるとされています。

芳一を呼んだ亡霊の正体は?

壇ノ浦の戦いで滅んだ平家一門の亡霊です。原典ははっきり名前を出しませんが、芳一が安徳天皇の墓の前で語っていたことや、鬼火に囲まれていたことから、それが分かるように書かれています。

耳なし芳一の舞台はどこ?

今の山口県下関市、赤間関にあった阿弥陀寺です。この寺は明治時代に赤間神宮となり、安徳天皇をまつっています。

耳なし芳一は最後どうなったの?

良い医者の手当てで傷は治り、この出来事が評判になって多くの人が語りを聞きに来るようになりました。芳一は豊かになり、「耳なし芳一」と呼ばれるようになりました。

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