この話のもとになった神話
説得(オースティン)第1話あらすじ|借金で館を手放すエリオット家
元の物語のあらすじ(第1〜2章)
舞台はイングランド南西部、サマセットシャーのケリンチ館です。館の主サー・ウォルター・エリオットは準男爵で、自分の見た目と家柄が何より自慢の人です。いちばんの愛読書は、準男爵の家々がのった名鑑。暇があればエリオット家のページを開き、自分で書き足しまでして、うっとりと読み返しています。
賢くしっかり者だった妻は13年前に亡くなりました。それからは家計の管理をする人がいなくなり、暮らしは収入を超えて、借金がふくらんでいきます。長女エリザベスが思いつく節約は、寄付を減らすことや、客間に新しい家具を入れるのをやめることくらいでした。
そこで弁護士のシェパード氏と、亡き妻の親友レディ・ラッセルが相談にのります。レディ・ラッセルは次女アンの意見も聞いて節約案を作りました。アンが大事にしたのは、見た目の体面よりも、借金を早く返す誠実さでした。ところが父は、旅行も馬も召使いも減らすなんて耐えられない、と案をはねつけます。
結局、館を出て暮らすことに決まります。アンは近所の小さな家を望みましたが、その声は通らず、行き先はバースに。アンはもともとバースが好きではありませんでした。最後に、シェパード氏の娘ミセス・クレイがエリザベスと親しくなっていることが語られ、レディ・ラッセルはその付き合いを心配します。
この物語が描いていること(時代の背景)
物語の時代は1814年ごろのイギリスです。準男爵は貴族のすぐ下にあたる、親から子へ受けつがれる称号です。名鑑を愛読する父の姿は、中身より肩書きや見た目にこだわる人を、オースティンがユーモアたっぷりに描いたものです。
この家では、称号と館を継ぐのは娘ではなく、遠い親戚の男性ウィリアム・エリオット氏と決まっています。当時の英国では、家の跡継ぎは男性に限られることが多く、娘たちの将来は結婚に大きく左右されました。29歳のエリザベスが結婚を気にし始めているのも、そうした事情と関係しています。
バースは温泉で知られる社交の町で、ロンドンより安く、それでいて体面を保って暮らせる場所として勧められます。体面とお金、どちらを守るのか。第1〜2章は、その選択を通して家族一人ひとりの性格を浮かび上がらせています。
漫画版で変えたところ・足したところ
原典にあるのは、名鑑を読み返す父、ふくらむ借金、アンの意見が軽く扱われること、館を貸してバースへ移る決定、ミセス・クレイへの心配までです。ここは漫画でもそのまま描いています。
一方、次のところは漫画の創作です。冒頭のアンの短いひとりごと(原典の地の文で、アンが家族の中で軽んじられていると書かれている部分をもとにしたもの)、請求書の山などのコミカルな絵、相談の場面でだれが何を言うかという細かなやりとり、館の内装や衣装、人物の顔立ちです。鏡の多い化粧室は、原典ではもっと後の章で話題になる要素で、漫画では軽く描くだけにしています。
最後のコマで「海軍」という言葉にアンが目を揺らす場面も、漫画の「引き」です。海軍の話が出るのは原典の第3章、アンの過去が明かされるのは第4章です。そのため第1話では名前も事情も出していません。ミセス・クレイがバースについて行く話も、原典で決まるのは第5章です。
漫画で読むには
文字で読むと少し地味に感じる第1〜2章も、漫画ならうぬぼれた父の表情や、だれにも気づいてもらえないアンの横顔がひと目でわかります。「海軍」の一言にアンが何を思ったのかは、次の話から少しずつ見えてきます。Manga Portalの『説得 ―八年越しの恋―』は全話無料で、会員登録もいりません。八年越しの恋の始まりを、よければ続けて読んでみてください。
この話の登場人物
- アン・エリオット(あん・えりおっと)
- エリオット家の次女で主人公。27歳ごろで、賢く優しいのに、父と姉からは意見を聞いてもらえない。
- サー・ウォルター・エリオット(さー・うぉるたー・えりおっと)
- ケリンチ館の主の準男爵。見た目と家柄が自慢で、準男爵名鑑が愛読書。借金をつくっても暮らしを切りつめようとしない。
- エリザベス・エリオット(えりざべす・えりおっと)
- 父に似て美しい長女で、父のお気に入り。13年間館の女主人を務めてきた、誇り高い29歳。
- レディ・ラッセル(れでぃ・らっせる)
- 亡き母の親友で、娘たちの後見役。アンをいちばん大切に思い、節約案を作る。
- シェパード氏(しぇぱーどし)
- サー・ウォルターの弁護士。慎重な人で、館を人に貸すことを遠回しに勧める。
- ミセス・クレイ(みせす・くれい)
- シェパード氏の娘。結婚がうまくいかず子どもを連れて実家に戻っており、エリザベスと親しくしている。
よくある質問
『説得』はどんな話?
ジェイン・オースティンの長編小説で、27歳のアン・エリオットが、8年前に周りに説得されて別れた相手と再会する恋の物語です。物語は、見栄っ張りな父が借金をかかえて館を貸すことになる場面から始まります。
『説得』の第1〜2章のあらすじは?
準男爵サー・ウォルターの浪費で借金がふくらみ、レディ・ラッセルがアンの意見も取り入れて節約案を作ります。しかし父は受け入れず、館を人に貸してバースへ移ることが決まります。
なぜエリオット家はバースへ引っ越すの?
借金を返すために、館を人に貸して出ていく必要があったからです。バースはロンドンより暮らしにお金がかからず、それでいて体面も保てる町として、シェパード氏とレディ・ラッセルが勧めました。
『説得』はいつ書かれた作品?
オースティンが最後に書き上げた長編で、作者が亡くなった1817年の終わりに、死後の出版として世に出ました。物語の時代は1814年ごろのイギリスです。
アンはなぜ家族に大事にされていないの?
父と姉は見た目や身分を何より重んじる人なので、控えめで若々しさを早くに失ったアンを軽く見ているからです。亡き母の親友レディ・ラッセルだけが、アンの賢さと優しさを認めています。
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