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第1話美しすぎて、誰にも愛されない王女エロスとプシュケ(キューピッドとプシュケ)

誰もが拝むのに、誰も恋をしない――美しすぎる王女プシュケは、女神ヴィーナスの嫉妬を買ってしまう。シリーズ第1話。「誰かに私を見てほしい」と父に打ち明けたプシュケに、予言の神の神託は「花嫁として山の岩に置け。夫は翼ある魔物」と告げる。

19ページ全話無料・会員登録なし

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次回予告 · 制作中第2話 嫁入りの山 ―風に運ばれて―

怪物の花嫁になるはずだった王女。風が連れて行ったのは、誰もいない黄金の宮殿だった。

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この話のあらすじ

ある国の王と王妃に、三人の娘がいました。上の二人も美しい娘でしたが、末娘プシュケの美しさは、人の言葉ではほめきれないほどでした。国の人も遠くから来た人も、プシュケを「地上に現れた女神ヴィーナス」だと言って拝み、朝に道を行く彼女に花や花輪を捧げました。そのせいで、パフォスやキュテラにあるヴィーナスの神殿には参る人がいなくなり、祭りも捧げ物も途絶えてしまいます。 怒ったヴィーナスは、翼を持つ息子を呼び、プシュケを見せて「身分も財産も失った、世界でいちばん惨めな男にあの娘を恋させなさい」と頼みます。そして海の神々を従えて、海へ去っていきました。

原典エロスとプシュケ ―見てはならない夫― — ローマ · 2世紀後半(170年ごろ。北アフリカ出身のローマ帝国の作家アプレイウスの小説『変身物語(黄金のろば)』全11巻のうち、第4巻28節〜第6巻24節に挿入された物語)。物語の舞台は神話の時代のギリシャ・小アジアの王国

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この話のもとになった神話

エロスとプシュケのあらすじ|美しすぎる王女と神託とは

ひとことで言うと: エロスとプシュケ(クピドとプシュケ)は、美しすぎて誰からも求婚されない王女プシュケが、女神ヴィーナスの嫉妬を買い、「花嫁として山の岩に置け。夫は翼ある魔物」という神託を受ける物語です。出典は古代ローマの作家アプレイウスの『変身物語』(通称『黄金のろば』)で、第4巻28〜33節がこの話の始まりにあたります。

元の神話のあらすじ(物語の始まり)

ある国の王と王妃に、三人の娘がいました。上の二人も美しい娘でしたが、末娘プシュケの美しさは、人の言葉ではほめきれないほどでした。国の人も遠くから来た人も、プシュケを「地上に現れた女神ヴィーナス」だと言って拝み、朝に道を行く彼女に花や花輪を捧げました。そのせいで、パフォスやキュテラにあるヴィーナスの神殿には参る人がいなくなり、祭りも捧げ物も途絶えてしまいます。

怒ったヴィーナスは、翼を持つ息子を呼び、プシュケを見せて「身分も財産も失った、世界でいちばん惨めな男にあの娘を恋させなさい」と頼みます。そして海の神々を従えて、海へ去っていきました。息子がこの命令にどう答えたかは、この場面には書かれていません。

一方のプシュケは、皆に見とれられるだけで、まるで像のように眺められ、誰からも結婚を申し込まれません。姉たちは王たちと結婚して家を出ていき、ひとり残ったプシュケは孤独に弱り、自分の美しさを憎むようになります。神々の怒りを疑った父王は、ミレトスにあるアポロンの神託所に娘の結婚相手を尋ねました。返ってきた答えは「娘を死者の婚礼のように飾り、高い山の岩の上に置け。夫は人間ではなく、翼で空を飛ぶ残酷な魔物で、神々の王ユピテルさえ怖れる」というものでした。国じゅうが嘆く中、悲しい婚礼の支度が始まります。

主な登場人物

主人公はプシュケ。物語を動かすのは、美しさの女神ヴィーナスと、その翼ある息子です。息子はラテン語の原文ではクピド(アモル)と呼ばれ、英語のキューピッドにあたります。ギリシア神話ではエロスと呼ばれる神です。原典では、夜に松明と矢を持って人の家に入り込み、結婚を乱すいたずら好きの少年として描かれています。ほかに、娘を心配する父王と王妃、先に結婚していく二人の姉が登場します。

この神話が伝えていること(時代と背景)

作者のアプレイウスは2世紀ごろ、ローマ帝国の北アフリカで生まれた作家です。『変身物語』は、ろばに変えられた青年ルキウスの冒険を描いた長い物語で、プシュケの話はその途中で語られる「話の中の話」です。盗賊にさらわれた娘カリテを慰めるため、盗賊のすみかの老婆が「美しい昔話」として語り始めます。なお、オウィディウスにも同じ題名の有名な作品がありますが、別の作品です。

プシュケという名前は、ギリシア語で「魂」を意味します。そのため、この物語を「魂(プシュケ)が愛(エロス)を求めて試練を乗りこえる話」として読む説もあります。ただし、作者自身がそう説明しているわけではありません。第1話の範囲では、人に崇められても愛されない孤独と、人間が神の領分に近づきすぎたときの神の怒りが、大きな柱になっています。

漫画版で変えたところ・足したところ

漫画の第1話は、原典の流れにそって描いていますが、漫画として伝わりやすくするために創作した部分もあります。たとえば、プシュケが父に「誰かに私を見てほしい」と打ち明ける場面や、彼女の表情・心の中の言葉は漫画で足したものです。原典に書かれているのは「孤独を嘆き、美しさを憎んだ」というところまでです。

神託の言葉は、「山の岩に置く」「夫は翼ある魔物」といった内容は守りつつ、言い回しは漫画のために作りました。王や王妃、姉たちの顔立ちや服装、宮殿の見た目も漫画の創作で、国の名前は原典にもありません。また、ヴィーナスの長い独り言は短くまとめています。

漫画で読むには

このページの漫画『エロスとプシュケ ―見てはならない夫―』は、全話無料、会員登録なしで読めます。山の岩に置かれたプシュケを待っているのは、本当に恐ろしい魔物なのか。副題の「見てはならない夫」が何を意味するのかは、第2話以降で描かれます。古代ローマから伝わる恋と試練の物語を、ぜひ漫画で続けて楽しんでください。

この話の登場人物

プシュケ(ぷしゅけ)
王の三人娘の末娘で、女神のように拝まれるほど美しいのに、誰からも求婚されず孤独に苦しむ主人公。
ヴィーナス(う゛ぃーなす)
愛と美の女神で、人々の崇拝をプシュケに奪われたことに怒り、息子に仕返しを頼む。
エロス/クピド(えろす/くぴど)
ヴィーナスの翼ある息子で、英語ではキューピッド。母から、プシュケを最も惨めな男に恋させるよう命じられる。
王(おう)
プシュケの父で、娘の不幸に神の怒りを疑い、ミレトスのアポロンに神託を求める。
二人の姉(ふたりのあね)
人並みに美しく、求婚してきた王たちと先に結婚していくプシュケの姉。
アポロン(あぽろん)
ミレトスの神託所の神で、娘を花嫁として山の岩に置けと告げる。

よくある質問

エロスとプシュケはどんな話?

美しすぎて誰にも愛されない王女プシュケが、女神ヴィーナスの嫉妬をきっかけに、姿の見えない夫と結ばれ、試練を乗りこえていく物語です。出典はアプレイウスの『変身物語』(『黄金のろば』)です。

エロスとキューピッドとクピドは同じ神?

はい、同じ愛の神を指す呼び名です。ギリシア語ではエロス、ラテン語ではクピド(またはアモル)、英語ではキューピッドと呼ばれます。原典はラテン語で書かれているので、本文ではクピドと呼ばれています。

なぜヴィーナスはプシュケに嫉妬したの?

人々がプシュケを女神の生まれ変わりのように拝み、ヴィーナスの神殿に誰も参らなくなったからです。崇拝を人間の娘に奪われたことに怒り、息子に仕返しを頼みました。

プシュケが受けた神託の内容は?

ミレトスのアポロンの神託は、娘を死者の婚礼のように飾って山の岩の上に置け、夫は人間ではなく翼で飛ぶ残酷な魔物だ、というものでした。その魔物は神々の王ユピテルさえ怖れると告げられます。

オウィディウスの『変身物語』と同じ作品?

別の作品です。プシュケの話が出てくるのは、2世紀ごろの作家アプレイウスの『変身物語』で、『黄金のろば』という呼び名でも知られています。

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