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第5話生け垣ごしに聞いた、元婚約者の本音説得(ジェイン・オースティン)

8年前、まわりに説得されて婚約を断った人と、子ども部屋で二人きりになってしまったアン。数日後の散歩で、生け垣の向こうから聞こえてきたのは、「人に言われて心を変える人」を責める、あの人の声だった。

19ページ全話無料・会員登録なし

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次回予告第6話 港町ライム ―海辺の朝―

見知らぬ紳士が彼女に見とれた。その瞬間、元婚約者は初めて彼女を「もう一度」見た。

この作品はここまで。次はこちらもどうぞ

この話のあらすじ

ウェントワース大佐は、姉のクロフト夫人が住むケリンチ邸に泊まりながら、アッパークロスのマスグローヴ家へたびたび遊びに来ていました。まわりでは、マスグローヴ家の姉妹ヘンリエッタとルイーザのどちらが大佐と結ばれるのかがうわさになっています。ヘンリエッタと親しかった従兄の副牧師チャールズ・ヘイターは、彼女の態度が冷たくなったと感じ、訪ねてこなくなりました。 ある朝、アンは鎖骨をけがして寝ている甥のチャールズ坊に付き添っていました。そこへ大佐が入ってきて、思いがけず二人きりに。気まずい沈黙のあと、ヘイターも来ますが、新聞を読むばかりです。

原典説得 ―八年越しの恋― — イングランド · 1815〜1816年に執筆、1817年12月刊(扉の年は1818)。摂政時代(リージェンシー)のイングランド、ナポレオン戦争の終結(1814年)後の数年間が舞台

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この話のもとになった神話

説得(オースティン)第9〜10章あらすじ|榛の実と生け垣の場面

ひとことで言うと: 『説得』第9〜10章は、8年前に婚約を断ったウェントワース大佐と気まずく再会したアンが、散歩の途中で生け垣ごしに大佐の本音を聞いてしまう場面です。大佐は「人に説き伏せられて心を変える人」を批判し、嵐に耐えた榛(はしばみ)の実にたとえて、意志の強さの大切さを語ります。ジェイン・オースティンが書いた最後の長編小説『説得』(1817年、作者の死後に出版)の前半で、物語が大きく動く部分です。

原典のあらすじ(第1巻 第9〜10章)

ウェントワース大佐は、姉のクロフト夫人が住むケリンチ邸に泊まりながら、アッパークロスのマスグローヴ家へたびたび遊びに来ていました。まわりでは、マスグローヴ家の姉妹ヘンリエッタとルイーザのどちらが大佐と結ばれるのかがうわさになっています。ヘンリエッタと親しかった従兄の副牧師チャールズ・ヘイターは、彼女の態度が冷たくなったと感じ、訪ねてこなくなりました。

ある朝、アンは鎖骨をけがして寝ている甥のチャールズ坊に付き添っていました。そこへ大佐が入ってきて、思いがけず二人きりに。気まずい沈黙のあと、ヘイターも来ますが、新聞を読むばかりです。そのとき2歳のウォルター坊がアンの背中によじのぼり、どうしても離れません。ヘイターが叱っても効きません。すると次の瞬間、大佐が黙って子どもを引き離してくれました。アンは胸がいっぱいでお礼も言えず、部屋を出てしまいます。

別の日、姉妹の長い散歩にアンとメアリー、狩りから戻ったチャールズと大佐も加わり、一行はヘイター家のあるウィンスロップへ向かいます。生け垣のそばの土手で休んでいたアンの耳に、向こう側で木の実を探す大佐とルイーザの会話が聞こえてきました。大佐はルイーザの意志の強さをほめ、つやのある榛の実を手に取って、秋の嵐を耐え抜いた傷ひとつない実のように、幸せになりたい人は心を強く持つべきだと語ります。さらにルイーザは、兄チャールズが昔アンに求婚して断られたこと、両親はそれをラッセル夫人の説得のせいだと思っていることまで話してしまいました。

帰り道、ヘンリエッタとヘイターは仲直りしていました。疲れたアンは、通りかかったクロフト夫妻の馬車に誘われます。そのとき大佐が何も言わずにアンを馬車に乗せてくれたことで、アンは「彼は自分の疲れに気づいていた」と悟ります。許してはくれていなくても、冷たい人ではないのだと感じるのでした。

主な登場人物

主人公のアン・エリオットは27歳。8年前、母の友人ラッセル夫人に説得されて、ウェントワースとの婚約をあきらめました。ウェントワース大佐は戦争で財産を築いて戻った海軍の軍人で、説得されて身を引いたアンを今も恨んでいます。けれども、口数は少なくても周りをよく見て気づかう人として描かれています。

活発で思い込んだら引かないルイーザ、気持ちが揺れやすいヘンリエッタ、その従兄のヘイター、そしてアンを親切に馬車へ誘うクロフト夫人が、この回の物語を動かします。

「榛の実」の場面が伝えていること

作品のタイトル『説得』そのものが、この場面のテーマです。大佐が「人に言われて心を変える弱さ」を責めるとき、それを聞いているのは、まさに説得されて婚約を断ったアン本人です。大佐はアンに向けて話しているわけではありません。それでも読者には、彼の言葉が8年前の出来事への怒りのように聞こえます。

19世紀初めのイギリスでは、若い女性の結婚に家族や後見役の大人が強く口を出すのはふつうのことでした。財産や身分のない若い軍人との婚約は「危ない」と考えられがちでした。一方で、ナポレオン戦争のころの海軍では、手柄を立てて財産を築き、出世する人もいました。オースティンはこうした時代を背景に、「人の意見を聞くこと」と「自分の心に従うこと」のどちらが正しいのかを、簡単には答えを出さずに描いています。

漫画版で変えたところ・足したところ

出来事の流れは原典どおりです。そのうえで、漫画ならではの表現を加えています。ウォルター坊が引き離される場面は「背中の重みがふっと消える」感覚として描き、アンの表情や間(ま)で気持ちを伝えています。榛の実をめぐる台詞は、原文の意味を守りながら、言葉は自分たちで書きました。

子ども部屋や秋の野道、生け垣といった背景、天気、登場人物の顔立ちや髪の色は、原典にほとんど書かれていないため、漫画で考えたものです。アンが生け垣のそばで動けなくなる時間の長さ、ヘンリエッタとヘイターの仲直りの見せ方、馬車の中の会話の細部、アンの心の声の量も、漫画で読みやすくするための工夫です。

漫画で読むには

Manga Portal の『説得 ―八年越しの恋―』は、全話無料、会員登録なしで読めます。言葉にできない気持ちがすれ違う原典の繊細さを、表情と間で味わえるのが漫画ならではの楽しさです。第5話で大佐の本音を聞いてしまったアンがこれからどうなるのか、ぜひ続きの話もページをめくって確かめてみてください。

この話の登場人物

アン・エリオット
主人公の27歳の女性で、8年前に周りの説得でウェントワースとの婚約をあきらめた。
フレデリック・ウェントワース大佐
アンのかつての婚約者の海軍大佐で、意志の強さを何より大切にしている。
ルイーザ・マスグローヴ
マスグローヴ家の次女で、活発な性格を大佐にほめられる。
ヘンリエッタ・マスグローヴ
マスグローヴ家の長女で、大佐に心が揺れるが、従兄ヘイターと仲直りする。
チャールズ・ヘイター
ヘンリエッタの従兄の副牧師で、大佐の出現に不安を感じている。
クロフト夫人
ウェントワースの姉で、疲れたアンを親切に馬車へ誘う。

よくある質問

『説得』はどんな話?

ジェイン・オースティンの最後の長編小説で、8年前に周りの説得で婚約を断ったアンが、海軍大佐となって戻ってきた元婚約者ウェントワースと再会する物語です。作者が亡くなった後の1817年に出版されました。

「榛の実」の場面とは?

第10章で、ウェントワース大佐がルイーザに、秋の嵐を耐え抜いた傷ひとつない榛の実にたとえて、意志を強く持つ大切さを語る場面です。生け垣の向こうで、それをアンが聞いてしまいます。

アンはなぜ婚約を断ったの?

8年前、母の友人ラッセル夫人に、財産も身分もない若い軍人との婚約は危ういと説得されたためです。物語の題名『説得』は、この出来事から来ています。

ウォルター坊の場面では何が起こる?

2歳のウォルター坊がアンの背中にしがみついて離れなくなり、ウェントワース大佐が黙って引き離してくれます。アンは胸がいっぱいになり、お礼も言えずに部屋を出てしまいます。

チャールズ・マスグローヴがアンに求婚していたのは本当?

はい、原典では、チャールズはメアリーと結婚する前にアンに求婚して断られています。マスグローヴ夫妻は、それもラッセル夫人の影響だと考えていました。

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