説得(ジェイン・オースティン) あらすじ
『説得』は、イギリスの作家ジェイン・オースティンが書いた最後の長編小説で、彼女が亡くなった1817年の暮れに出版されました。舞台は1814年ごろのイギリス。主人公のアン・エリオットは27歳。8年前の19歳のとき、若い海軍士官フレデリック・ウェントワースと婚約しましたが、「財産も先の見通しもない相手との結婚は危ない」と母代わりのレディ・ラッセルに説得され、婚約を解いてしまいました。その後もアンは彼を忘れられず、ひとりで後悔を胸にしまって暮らしています。
物語は、見た目と家柄が自慢の父サー・ウォルターが借金をかかえ、先祖代々のケリンチ館を人に貸してバースへ移るところから始まります。館の借り手に決まったのはクロフト提督。その妻は、なんとウェントワースの姉でした。アンは妹メアリーの嫁ぎ先アッパークロスに身を寄せ、マスグローヴ家の人々の聞き役になりますが、そこへ戦争で出世し財産を築いたウェントワース大佐が姉夫婦を訪ねてやって来ます。
8年ぶりの再会で、ウェントワースはアンに冷たくよそよそしい態度をとり、「別人のように変わった」と口にします。彼はマスグローヴ家の明るい姉妹ヘンリエッタとルイーザに囲まれ、とくに意志の強いルイーザをほめます。生け垣ごしにその言葉を聞いてしまうアン。それでも、暴れる甥を背中から引きはがしてくれたり、疲れたアンを姉の馬車に乗せてくれたりと、彼の小さな気づかいにアンの心は揺れます。
一度あきらめた恋に、もう一度向き合うことはできるのか。周りに「説得」されて決めたことは正しかったのか。静かな大人の恋と、身分や見栄にとらわれた人々へのユーモアたっぷりの描写が魅力の物語です。漫画版では、この揺れ動く気持ちを中学生にもわかる言葉で描いています。
あらすじ一覧
第1話鏡に映らないで、と言われた娘 ―説得―
漫画のあらすじ借金で傾く館で、家族の誰にも話を聞いてもらえない次女アン。見栄っ張りの父と姉が「馬も召使いも減らせない」と言い張るなか、館を貸してバースへ移ることが決まる。夕暮れ、扉の向こうから聞こえた「海軍」の一言に、アンの目が一瞬だけ揺れる。
原典では舞台はイングランド南西部、サマセットシャーのケリンチ館です。館の主サー・ウォルター・エリオットは準男爵で、自分の見た目と家柄が何より自慢の人です。いちばんの愛読書は、準男爵の家々がのった名鑑。暇があればエリオット家のページを開き、自分で書き足しまでして、うっとりと読み返しています。
第2話別れた恋人の姉が、うちに住む ―説得(ジェイン・オースティン)―
漫画のあらすじ館の借り手を「海軍の提督」に決めていく笑いだらけの相談の席で、27歳のアンは、7年あまり前に自分から手放した人の名を、誰より先に口にしてしまう。林の小道へ出たアンは19歳の夏を思い出し、「彼の姉が住む家」を、ひとり黙って受け入れる。
原典ではナポレオン戦争が終わり、海で戦っていた海軍士官たちが次々と陸へ戻ってきます。浪費で借金を抱えたサー・ウォルター・エリオットは、自分の館ケリンチ・ホールを人に貸すことになりました。代理人のシェパード氏は「戦争で稼いだ金持ちの海軍士官こそ、借り手にぴったりです」と勧めます。
第3話元恋人の名が、毎晩ほめられる家 ―説得(ジェイン・オースティン)―
漫画のあらすじ家族に「残っても誰も困らない」と置いていかれたアンは、3マイル先の妹の家で、皆の愚痴の聞き役として頼られるようになる。だがその家では、8年前に別れた人の名前が、毎晩ほめ言葉として飛び交い始める。
原典ではお金に困った准男爵サー・ウォルター・エリオットは、先祖代々のケリンチ館を人に貸すことにします。借りに来たのは海軍のクロフト提督夫妻です。提督は飾らない、感じのよい人だったので、見た目と身分にうるさいサー・ウォルターも満足し、話はすぐにまとまりました。サー・ウォルターと長女エリザベスは、街のバースへ移ることになります。
第4話振った人の感想は「まるで別人」 ―説得(ジェイン・オースティン)―
漫画のあらすじ甥のけがを看病するために一晩だけ会わずにすんだアンは、翌朝、8年前に自分から婚約を断った人と不意に顔を合わせる。お辞儀をひとつ交わしただけの数分のあと、妹が何気なく伝えた「変わりすぎて、会っても分からなかっただろう」という一言が胸に刺さる。
原典ではウェントワース大佐が、姉夫婦のクロフト家が借りているケリンチの屋敷にやって来ます。マスグローヴ家は彼を夕食に招きますが、その直前、アンの甥の小さなチャールズが転んで鎖骨を外し、背中も痛めてしまいます。アンは落ち着いて手当てを取り仕切り、薬剤師が呼ばれます。
第5話生け垣ごしに聞いた、元婚約者の本音 ―説得(ジェイン・オースティン)―
漫画のあらすじ8年前、まわりに説得されて婚約を断った人と、子ども部屋で二人きりになってしまったアン。数日後の散歩で、生け垣の向こうから聞こえてきたのは、「人に言われて心を変える人」を責める、あの人の声だった。
原典ではウェントワース大佐は、姉のクロフト夫人が住むケリンチ邸に泊まりながら、アッパークロスのマスグローヴ家へたびたび遊びに来ていました。まわりでは、マスグローヴ家の姉妹ヘンリエッタとルイーザのどちらが大佐と結ばれるのかがうわさになっています。ヘンリエッタと親しかった従兄の副牧師チャールズ・ヘイターは、彼女の態度が冷たくなったと感じ、訪ねてこなくなりました。