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第10話お寺の鬼が妻に似すぎて、号泣鬼瓦

シリーズ第10話(最終話)。長い訴えに勝った大名が、お礼参りのお寺で屋根の鬼の顔を見上げて突然号泣します。「国の女房にそっくりなんだ」――笑いをこらえる太郎冠者が最後に選んだ一言とは。狂言「鬼瓦」です。

19ページ全話無料・会員登録なし

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この話のあらすじ

主人公は、都から遠い国の大名です。訴訟のために長いあいだ京都にとどまっていましたが、ついに勝って領地を認められ、国へ帰れることになります。大名はこれを、日ごろ信仰してきた因幡堂の薬師如来のおかげだと喜び、家来の太郎冠者を連れてお礼参りに出かけます。 お参りをすませた大名は、国にも同じお堂を建てようと思いつき、二人で建物の造りを見て回ります。ところが屋根の鬼瓦を見上げた大名は、急に泣き出してしまいます。驚いた太郎冠者がわけを聞くと、あの鬼の顔が国に残した女房にそっくりで、懐かしくなったというのです。 大名は目や鼻や口など、似ているところを挙げて嘆きます。

原典狂言傑作集 ―笑いの六百年― — 日本 · 室町時代〜江戸時代(『狂言記』1660年刊)

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この話のもとになった物語

狂言「鬼瓦」のあらすじ|鬼の顔が妻に似て泣く大名の話

ひとことで言うと: 狂言「鬼瓦(おにがわら)」は、長い訴訟に勝った遠国の大名が、お礼参りに訪れた因幡堂で屋根の鬼瓦を見上げ、国に残した女房にそっくりだと泣き出す大名狂言です。太郎冠者に、もうすぐ国へ帰って会えると慰められて機嫌を直し、主従で大笑いして終わります。

狂言「鬼瓦」のあらすじ

主人公は、都から遠い国の大名です。訴訟のために長いあいだ京都にとどまっていましたが、ついに勝って領地を認められ、国へ帰れることになります。大名はこれを、日ごろ信仰してきた因幡堂の薬師如来のおかげだと喜び、家来の太郎冠者を連れてお礼参りに出かけます。

お参りをすませた大名は、国にも同じお堂を建てようと思いつき、二人で建物の造りを見て回ります。ところが屋根の鬼瓦を見上げた大名は、急に泣き出してしまいます。驚いた太郎冠者がわけを聞くと、あの鬼の顔が国に残した女房にそっくりで、懐かしくなったというのです。

大名は目や鼻や口など、似ているところを挙げて嘆きます。太郎冠者が、まもなく国へ帰ってお会いになれますと慰めると、大名は機嫌を直し、最後は二人で大笑いして幕となります。鬼瓦のある場所や、顔をたとえる言い回しといった細かな部分は、流派や台本によって違うことがあります。

どこがおかしい?「鬼瓦」の笑いどころ

鬼瓦とは、屋根の端などに置かれる、鬼の顔などをかたどった瓦のことです。こわい顔を見て妻を思い出すなんて、ずいぶん失礼な話です。ところが大名は、悪口を言っているつもりがありません。本気で涙を流し、本気で妻を恋しがっています。

ひどいことを言っているのに、そこには深い愛情がある。このちぐはぐさが「鬼瓦」のおかしさであり、あたたかさでもあります。妻本人は舞台に出てこないので、どんな人なのかは観客が想像するしかありません。姿を見せない人物の顔が目に浮かんでしまうところも、この話の面白さの一つでしょう。

狂言と大名狂言とは(文化・時代の背景)

狂言は、室町時代ごろに形が整っていった、せりふとしぐさで笑わせる舞台の芸能です。能とともに「能楽」と呼ばれ、今も演じ続けられています。「鬼瓦」は、大名が主役になる「大名狂言」の一つで、大蔵流と和泉流の両方に伝わっています。

狂言に出てくる大名は、江戸時代の大きな藩の殿様とは違い、地方の領主くらいの身近な人物として描かれます。領地に関わる訴えのために国を離れ、長く都で暮らす。そんな不安な日々のあとだからこそ、勝った喜びも、家族に会いたい気持ちも一気にあふれたのだと読むことができます。お礼参りの先である因幡堂は、京都に今もあるお寺で、平等寺ともいいます。

原典と漫画版のちがい

訴訟に勝つこと、因幡堂へのお礼参り、鬼瓦を見て泣くこと、太郎冠者の慰め、二人の大笑いは、原典にある流れです。

一方、シリーズ最終話である漫画版には、次のような創作を加えています。冒頭でこれまでの騒動を振り返る場面(次郎冠者は「鬼瓦」本編には出てきません)。鬼瓦に妻の顔を重ねる想像のコマと、そこでの妻の表情や性格づけ。因幡堂の境内や参詣人などの背景。そして、大笑いのあとの帰郷の旅立ちと、故郷を感じさせる最後の場面です。原典は帰国の出発を描かず、笑いで終わります。

訴訟の相手や争点、都にいた年数なども、原典には詳しく語られないと考えられる部分です。漫画でそうした細部や、太郎冠者が笑いをこらえる様子を見かけたら、物語を楽しむための漫画の表現として読んでください。

漫画で「鬼瓦」を読むには

泣いている大名の真剣な顔と鬼瓦を並べて見られるのは、漫画ならではの楽しみです。太郎冠者がどんな一言で主人を慰めるのかも、ぜひコマの流れで味わってみてください。『狂言 ―笑いの六百年―』は全話無料、会員登録なしで読めます。この第10話が最終話なので、気になった方は第1話からたどると、シリーズの締めくくりがいっそう楽しめるはずです。

この話の登場人物

大名(だいみょう)
訴訟のため長く都にいた遠国の領主で、鬼瓦を見て国の女房を思い出し、泣き出す主人公です。
太郎冠者(たろうかじゃ)
大名に仕える従者で、お礼参りの供をし、泣き出した主人を慰めます。
大名の女房(だいみょうのにょうぼう)
国元にいる大名の妻で、話の中で語られるだけで舞台には登場しません。

よくある質問

狂言「鬼瓦」はどんな話?

訴訟に勝った大名が、お礼参りの因幡堂で鬼瓦を見上げ、国の女房に似ていると泣き出す話です。太郎冠者に慰められて機嫌を直し、最後は二人で大笑いします。

大名はなぜ鬼瓦を見て泣いたの?

鬼瓦の顔が国に残した女房にそっくりで、懐かしくなったからです。失礼なたとえですが、涙には妻を恋しく思う気持ちが表れています。

因幡堂とはどんなお寺?

京都にあるお寺で、平等寺ともいいます。「鬼瓦」では、大名が信仰してきた薬師如来のお堂として登場します。

漫画版と原典の違いは?

原典は主従の大笑いで終わりますが、漫画版は最終話として、帰郷の旅立ちの場面を加えています。冒頭の回想や、妻を想像するコマも漫画の創作です。

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