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第4話組んだ相手の顔が、蚊になった蚊相撲(かずもう)

シリーズ第4話。見栄っ張りの殿に「今日中に強い家来を」と言われ、太郎冠者が街道で見つけたのは腕自慢の相撲取り。けれどその正体は、人間ほどもある蚊の精だった――。

19ページ全話無料・会員登録なし

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次回予告 · 制作中第5話 萩大名 ―歌が詠めない殿様―

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この話のあらすじ

『蚊相撲』は、せりふとしぐさで人を笑わせる日本の伝統的な喜劇「狂言」の演目のひとつです。狂言の流派である大蔵流と和泉流の両方に伝わっています。題名のとおり、人間と蚊が相撲を取るという、聞いただけで少しおかしい話です。 大名が主役となる「大名狂言」に分けられます。ここでの大名は、江戸時代の大きな藩の殿様というより、もっと小さな領主と説明されることが多い存在です。えらそうにしているのにどこか抜けている、狂言でおなじみの殿様が、この話でも笑いの中心になります。

原典狂言傑作集 ―笑いの六百年― — 日本 · 室町時代〜江戸時代(『狂言記』1660年刊)

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この話のもとになった物語

蚊相撲(かずもう)のあらすじ|蚊の精と大名が相撲を取る狂言とは

ひとことで言うと: 蚊相撲(かずもう)は、家来を増やしたい大名が相撲取りと名乗る男を召し抱えたものの、その正体である蚊の精に血を吸われ、大うちわの風で追い払う、大名狂言『蚊相撲』の物語です。勝って調子に乗った大名は、最後に家来の太郎冠者に投げ飛ばされ、「やるまいぞ」と追いかけて幕になります。

蚊相撲(かずもう)とは?

『蚊相撲』は、せりふとしぐさで人を笑わせる日本の伝統的な喜劇「狂言」の演目のひとつです。狂言の流派である大蔵流と和泉流の両方に伝わっています。題名のとおり、人間と蚊が相撲を取るという、聞いただけで少しおかしい話です。

大名が主役となる「大名狂言」に分けられます。ここでの大名は、江戸時代の大きな藩の殿様というより、もっと小さな領主と説明されることが多い存在です。えらそうにしているのにどこか抜けている、狂言でおなじみの殿様が、この話でも笑いの中心になります。

元の狂言のあらすじ

遠い国に住む大名が、家来が少ないので新しく抱えたいと思い立ちます。欲しいのは相撲取りのように一芸のある者です。そこで家来の太郎冠者を呼び、街道へ出て、仕えてくれそうな人を探してくるよう命じます。

一方、舞台には蚊の精が現れ、人間に化けて人の血を吸おうと思っていることを名乗りで明かします。太郎冠者はそれを知らないまま、街道で「江州(近江国)守山の者で、相撲を取る」という男に出会い、召し抱えの話をして屋敷へ連れて帰ります。

大名は男の生まれた国を聞いて「守山」と知り、腕前を見るために自分で相手をすることにします。ところが取り組みの最中、男は口の吸い針で大名を刺して血を吸い、大名は目を回して倒れてしまいます。やがて大名は、守山が蚊の名所だと思い当たり、男の正体が蚊の精だと見抜きます。

大名はもう一番取ろうと持ちかけ、太郎冠者に大うちわ(扇とされることもあります)であおぐよう言いつけます。二番目の取り組みであおがれると、風に弱い蚊の精はよろめいて吹き飛ばされ、逃げていきます。勢いに乗った大名は太郎冠者にも相撲を挑みますが、逆に投げ飛ばされ、「やるまいぞ」と追いかけて幕となります。

この狂言のおもしろさと背景

おもしろさのひとつは、観客だけが先に正体を知っていることです。蚊の精が最初に名乗るので、太郎冠者と大名が何も知らずに話を進める様子を、観客はにやにやしながら見ていられます。さらに「守山」という地名が、大名が正体に気づく手がかりになっています。守山は今の滋賀県守山市のあたりで、この狂言の中では蚊の名所として語られます。

もうひとつは、えらい人が失敗する笑いです。大名は機転をきかせて蚊の精を追い払うのに、調子に乗ったせいで家来に負けてしまいます。主人と家来の立場がひっくり返る結末は、身分の差があった時代の観客にとっても痛快だったのではないか、と読むこともできます。

舞台の工夫も見どころです。蚊の精は嘯(うそふき)系の面をかけ、口に吸い針の作り物をつけるのが一般的とされます。ただし面の種類は流派や演者によって違うことがあります。大きな仕掛けを使わず、面としぐさだけで「人間のような大きさの蚊」を想像させるところが、狂言らしさといえるでしょう。

漫画版で変えたところ

話の大きな流れは原典のままで、「相撲取りと名乗る男の正体は蚊の精」「うちわの風で撃退」「最後は太郎冠者に投げられる」という骨組みは変えていません。殿の「今日中に強い家来を」のような言い回しは、漫画のために現代語で作った新しいせりふです。

いちばん大きな創作は、男が人の姿から巨大な蚊へ変わる見せ場です。舞台では面と作り物で表すだけなので、羽や脚、複眼の描き方は漫画ならではのものです。街道の宿場の雰囲気、蚊の精の心の声やコミカルなひとりごと、人間の姿のデザインも新しく加えました。

相撲の動きや効果音、刺された大名が目を回す大げさな表現、風で蚊がくるくる飛ぶ大うちわの描写も、漫画としての誇張です。追いかけっこのその後を描くおまけのコマも原典にはなく、本編とは分けて示しています。

漫画で読むには

この話は、Manga Portal のシリーズ「狂言 ―笑いの六百年―」の第4話「組んだ相手の顔が、蚊になった」で読めます。全話無料で、会員登録もいりません。組み合った相手の顔が変わる瞬間や、大うちわの大風は、絵で見るとまた違ったおかしさがあります。あらすじを知ったうえで読むと、大名がまだ何も気づいていない場面から笑えるはずです。

この話の登場人物

大名(だいみょう)
家来を増やして威勢を張りたい見栄っ張りの主役で、正体を見抜く機転はあるのに、勝つと調子に乗ってしまう。
太郎冠者(たろうかじゃ)
大名の家来で、知らずに蚊の精を連れ帰り、大うちわであおいで追い払い、最後は主人を投げ飛ばす。
蚊の精(かのせい)
血を吸うために人間に化け、江州守山の相撲取りと名乗って現れるが、風に弱い。

よくある質問

蚊相撲はどう読む?どんな話?

「かずもう」と読みます。家来を探す大名が相撲取りと名乗る男を召し抱えたところ、正体は蚊の精だったという狂言です。

大名はなぜ相撲取りの正体が蚊の精だとわかったの?

男の出身地が江州の守山だったからです。血を吸われて目を回した大名は、守山が蚊の名所だと思い当たり、正体を見抜きます。

蚊相撲の結末はどうなる?

太郎冠者が大うちわであおぐと、蚊の精は風に吹き飛ばされて逃げていきます。その後、調子に乗った大名は太郎冠者に相撲を挑んで投げ飛ばされ、「やるまいぞ」と追いかけて幕となります。

「やるまいぞ」とはどういう意味?

「逃がさないぞ」という意味の言葉です。狂言では、この言葉とともに相手を追いかけて舞台を去る終わり方がよく見られます。

太郎冠者とはどんな人物?

狂言にたびたび登場する家来の名前です。『蚊相撲』では主人の命令で人を探し、うちわ係も務めますが、最後は主人を投げ飛ばす、したたかな一面も見せます。

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