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第1話明かりが消えたら、この男を殺せ祇園精舎/殿上の闇討ち

シリーズ第1話。武士で初めて殿上に上がった平忠盛は、妬んだ公家たちに宴の夜の闇討ちを企てられる。斬ることも逃げることもせず、灯にきらめく刃と庭に控える家来、そしてある仕掛けで、一度も刃を振るわずに権力者たちを黙らせる。

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この話のあらすじ

『平家物語』は、だれもが知っている「祇園精舎の鐘の声」の一節から始まります。この世のものはずっと同じではいられない(諸行無常)、栄えた者もいつか必ず衰える(盛者必衰)。物語全体を通して流れる考えが、まず最初に示されます。 序ではそのあと、中国や日本で権力をふるって滅んだ人々の名前が次々に挙げられ、最後に「その中でも並外れていたのが平清盛だ」と話が絞られていきます。続けて、平家が桓武天皇の血を引く家であること、清盛の父・忠盛の代になって一族が都で大きく取り立てられたことが語られます。ここから話は、父の忠盛に移ります。

原典平家物語 — 日本 · 13世紀

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この話のもとになった物語

平家物語のあらすじ|祇園精舎と殿上の闇討ち、平忠盛の知恵

ひとことで言うと: 「殿上闇討」は、武士として初めて内裏の殿上に上がることを許された平忠盛が、それを妬んだ公家たちに宴の夜に闇討ちされそうになり、一度も刀を振るわずに切り抜ける話です。『平家物語』巻一の、有名な「祇園精舎」の序のすぐあとに置かれていて、平家が栄えていく始まりを語っています。

「祇園精舎」:物語の始まりに置かれた言葉

『平家物語』は、だれもが知っている「祇園精舎の鐘の声」の一節から始まります。この世のものはずっと同じではいられない(諸行無常)、栄えた者もいつか必ず衰える(盛者必衰)。物語全体を通して流れる考えが、まず最初に示されます。

序ではそのあと、中国や日本で権力をふるって滅んだ人々の名前が次々に挙げられ、最後に「その中でも並外れていたのが平清盛だ」と話が絞られていきます。続けて、平家が桓武天皇の血を引く家であること、清盛の父・忠盛の代になって一族が都で大きく取り立てられたことが語られます。ここから話は、父の忠盛に移ります。

「殿上闇討」のあらすじ

忠盛は鳥羽上皇のために得長寿院というお堂を建て、千体の仏像を納めました。そのほうびとして、それまで武士には許されていなかった「昇殿」(天皇のいる清涼殿の殿上の間に上がること)を許されます。

ところが、生まれのよい公家(殿上人)たちはこれをおもしろく思いません。宮中で開かれる五節の宴の夜に、忠盛を暗がりで襲おうと相談します。

うわさを聞いた忠盛は、短い刀を正装の下に差して宴に出ました。そして人々の前で刀をゆっくり抜き、鬢(耳の横の髪)にあてます。灯の光を受けた刃が氷のように冷たく光り、公家たちはぎょっとします。さらに、忠盛の家来の平家貞が、狩衣の下に鎧を着込み、刀を持って庭に控えていました。役人がとがめると、家貞は「主人が今夜襲われると聞いたので、どうなるか見届けに来た」と答えて動きません。こうして闇討ちは行われませんでした。

公家たちは仕返しに、忠盛が舞を舞うときに拍子を変え、彼の目つきや伊勢の出であることをからかう歌ではやし立てます。忠盛は宴が終わる前に席を立ち、帰りぎわに人の見ている前で刀を宮中の係の役人に預けていきました。

一度も斬らずに勝った「仕掛け」

翌日、公家たちは鳥羽上皇に「宮中に刀を持ち込み、武装した家来を庭に入れたのは罪だ」と訴えます。呼び出された忠盛は、「家来は自分の知らないうちに来ていた」と答えたうえで、役人に預けておいた刀を持ってこさせました。調べてみると、それは木の刀に銀箔を貼っただけのものでした。

上皇は、本物の刀を持ち込まずに相手を黙らせた忠盛の用心深さを「武士とはこうあるべきだ」とほめ、家来の行動も主人を守る武士の習いだとして、罪には問いませんでした。力ではなく知恵で、宮中の権力者たちを黙らせたわけです。

この話が伝えていること(時代の背景)

平安時代の後半、宮中では家柄がすべてで、武士は公家から一段低く見られていました。武士が殿上に上がるのは、それほどの「事件」だったのです。この話は、平家が実力で古い身分の壁を越えていく、その最初の一歩を描いています。

同時に、物語は序で「栄えた者は必ず衰える」と告げています。読者は、忠盛の見事な知恵を楽しみながら、この一族がこれから頂点に上り、やがて滅んでいくことを最初から知らされているのです。なお、昇殿の年など細かな点は、歴史の記録と物語とで違うという説もあります。

漫画版で変えたところ

刀を灯にきらめかせる場面、庭に控える家貞、銀箔の木刀という三つの仕掛けは、どれも原典にある出来事です。漫画は、この流れをそのまま一夜の駆け引きとして描いています。

一方、人物の表情、心の中の言葉、場面ごとの台詞の細かなやりとり、コマ割りや光と影の見せ方などは、漫画としての演出です。原典の語りは短く、登場人物の気持ちはほとんど書かれていないので、そこは絵とことばで補っています。

漫画で読むには

「祇園精舎」の一節は知っていても、そのすぐあとにこんなに緊張感のある話があることは、意外と知られていません。第1話では、灯の下で刃が光る一瞬や、最後に明かされる仕掛けを、絵で味わうことができます。

Manga Portal の『平家物語 ―源平合戦、驕れる者の最期―』は、全話無料、会員登録なしで読めます。平家が栄え、やがて滅びていく物語を、まずはこの第1話から読んでみてください。

この話の登場人物

平忠盛(たいらのただもり)
清盛の父。武士として初めて殿上に上がることを許され、闇討ちの企てを知恵で切り抜ける。
平家貞(たいらのいえさだ)
忠盛の家来。鎧を着込んで宮中の庭に控え、主人を守ろうとする。
鳥羽上皇(とばじょうこう)
得長寿院を建てた忠盛に昇殿を許し、公家たちの訴えを聞いて忠盛の知恵をほめる。
殿上人(てんじょうびと)の公家たち
家柄の高い貴族たち。武士の昇殿を妬み、宴の夜の闇討ちを企てる。
平清盛(たいらのきよもり)
忠盛の子。序で、栄えて滅んだ者の中でも並外れた人物として名前が挙げられる。

よくある質問

平家物語の「殿上闇討」とはどんな話?

武士で初めて殿上に上がった平忠盛が、妬んだ公家たちに宴の夜に襲われそうになる話です。忠盛は刀を光らせて見せ、家来を庭に控えさせ、実は木の刀だったという仕掛けで、一度も斬らずに切り抜けました。

「祇園精舎の鐘の声」はどういう意味?

この世のものは移り変わり、栄えた者もいつか必ず衰える、という仏教の考えを表した、平家物語の書き出しです。物語全体のテーマを最初に示しています。

平忠盛の刀はなぜ木刀だったの?

本物の刀を宮中に持ち込めば罪に問われるからです。忠盛は銀箔を貼った木刀で本物に見せて相手をおどし、訴えられたときにはそれが木刀だったことを示して、罪をまぬがれました。

昇殿とは何?なぜ武士にとって特別だったの?

天皇のいる清涼殿の殿上の間に上がることを許されることで、身分の高い貴族の特権でした。それまで武士には許されていなかったため、忠盛の昇殿は大きな出来事でした。

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