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第1話怖いものは?「……まんじゅう」まんじゅうこわい

「怖いものなんかねえ」と鼻で笑う松公が、仲間に詰め寄られて打ち明けたのは「まんじゅうが怖い」。懲らしめようと仲間が饅頭の山を積んだら――落語傑作集の第1話。

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この話のあらすじ

長屋に若い衆が集まり、それぞれの「怖いもの」を言い合っています。蛇だ、蜘蛛だ、蟻だと盛り上がるなか、一人だけ「怖いものなんかねえ」と鼻で笑う男がいます。漫画で松公と呼ばれるこの男は、仲間に詰め寄られると急に青い顔になり、「実は……まんじゅうが怖い」と打ち明けて、震えながら隣の部屋で寝込んでしまいます。 面白がった仲間は「あいつを懲らしめてやろう」と、お金を出し合ってまんじゅうを買い集め、寝ている松公の枕元に山と積みます。ところが襖のすき間からのぞくと、松公は「怖い、怖い」と叫びながら、一つ、また一つと口へ放り込んでいます。怖がるどころか、とうとう全部食べてしまいました。

原典落語傑作集 — 日本 · 噺は江戸時代〜明治の伝承。筋の根拠にする速記本は1890〜1925年の刊行

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この話のもとになった物語

まんじゅうこわい あらすじとオチの意味|「お茶が怖い」はなぜ笑える?

ひとことで言うと: 「まんじゅうこわい」は、「怖いものなんかない」と言う男が「実はまんじゅうが怖い」とうそをつき、仲間に山ほど持ってこさせて平らげてしまう古典落語です。だまされた仲間に本当に怖いものを問われると、「濃いお茶が一杯怖い」と答えて噺は終わります。大正時代の速記本には『饅頭ぎらひ』の題で残っています。

「まんじゅうこわい」のあらすじ

長屋に若い衆が集まり、それぞれの「怖いもの」を言い合っています。蛇だ、蜘蛛だ、蟻だと盛り上がるなか、一人だけ「怖いものなんかねえ」と鼻で笑う男がいます。漫画で松公と呼ばれるこの男は、仲間に詰め寄られると急に青い顔になり、「実は……まんじゅうが怖い」と打ち明けて、震えながら隣の部屋で寝込んでしまいます。

面白がった仲間は「あいつを懲らしめてやろう」と、お金を出し合ってまんじゅうを買い集め、寝ている松公の枕元に山と積みます。ところが襖のすき間からのぞくと、松公は「怖い、怖い」と叫びながら、一つ、また一つと口へ放り込んでいます。怖がるどころか、とうとう全部食べてしまいました。

だまされたと気づいた仲間が「お前が本当に怖いものは何だ!」と問いつめると、松公は満腹の顔でこう答えます。「ここらで濃いお茶が一杯怖い」。

落語とは? 扇子と手ぬぐいだけの話芸

落語は、一人の噺家が座ったまま、扇子と手ぬぐいだけを道具にして、登場人物全員を演じ分ける日本の話芸です。顔の向きと声を変えるだけで会話が生まれ、扇子や手ぬぐいは、しぐさ次第でいろいろな物に見えてきます。「寄席」と呼ばれる演芸場で、数百年にわたって続いてきました。話の最後を締めくくる一言を「オチ」または「サゲ」といいます。

原典は古い速記本『饅頭ぎらひ』

落語の多くは語り継がれてきたもので、この噺の作者もわかっていません。文字に残ったものとしては、三代目 蝶花楼馬楽(1914年没)の口演を記録した速記本があり、『袖珍落語集』(1913年)や『落語五人全集』(1925年)に『饅頭ぎらひ』の題で載っています。「ぎらひ」は「嫌い」の昔のかなづかいで、速記本とは噺家の語りを文字に起こした本のことです。

語り手や土地によって、噺の形は違います。関西に伝わる型には、途中に怪談めいた話が入る長いものもあります。また、中国の古い笑い話集に似た話があり、そこから伝わったという説もあります。怖いものの中身や最後の言い回しも、一つに決まっているわけではありません。

漫画版で足したところ

この漫画は、上の速記本で筋を確かめたうえで、台本とセリフを自分たちで書いたものです。「まんじゅうが怖いと言う→山ほど持ってこられて平らげる→最後にお茶をねだる」という流れは、伝わってきた噺のとおりです。

一方で、次の部分は漫画のための創作です。まず、冒頭と結びに登場する噺家・笑門亭福来は、このシリーズの架空の語り手で、実在の人物ではありません。結びで手ぬぐいをまんじゅうに見立てて食べるしぐさも、漫画の締めとして入れました。松公という呼び名や仲間の顔ぶれも、漫画に合わせて整理しています。

絵の見せ場も足しました。怖いものを言い合う場面は、それぞれが怖がる姿を想像のコマで大げさに描いています。蒸し・焼き・栗・そばとまんじゅうの種類を並べるところ、襖のすき間に仲間の顔が重なるところ、震えながらほおばる松公の顔芸も、漫画ならではの演出です。

オチ(サゲ)の解説

笑いの仕掛けは二段になっています。一段目は「まんじゅうが怖い」がうそだったこと。松公は、仲間のいたずら心を利用して、大好物をただで手に入れたのです。

二段目が最後の一言です。日本には、甘い和菓子のあとに濃い緑茶を飲む習慣があります。まんじゅうを山ほど食べた口が次に欲しがるのは、渋いお茶というわけです。「ここらで」は「このへんで、そろそろ」という意味です。松公はもう「怖いと言えば持ってきてもらえる」と知っています。うそがばれたあとなのに同じ手を使い、本当に欲しいものを「怖い」と言ってねだる。このずうずうしさが笑いどころです。

なお、ここでいうまんじゅうは、小麦の皮であんこを包んだ甘い和菓子で、中国の肉まんとは違います。甘いお菓子だと知っていると、お茶の一言がぐっとわかりやすくなります。

漫画で読むには

Manga Portal の『落語傑作集 ―笑いの十二席―』は全12話で、全話無料、会員登録なしで読めます。一話ごとに別の噺なので、どの話からでも楽しめます。第1話では、「怖い、怖い」と言いながら食べ続ける松公の顔と、のぞき見る仲間たちの表情の変化をぜひ絵で味わってください。筋を知ったあとに読み返すと、最初に青ざめる場面からもう笑えてくるはずです。

この話の登場人物

松公(まつこう)
「怖いものなんかない」と威張り、「まんじゅうが怖い」とうそをついて大好物をせしめる主役で、松公は漫画での呼び名です。
長屋の仲間たち(ながやのなかまたち)
怖いものを言い合う若い衆で、松公を懲らしめようとまんじゅうを買い集め、逆にだまされます。
笑門亭福来(しょうもんてい ふくらい)
漫画の冒頭と結びに登場する、このシリーズの架空の噺家です。

よくある質問

まんじゅうこわいのオチはどういう意味?

「怖いと言えば持ってきてもらえる」と知った男が、まんじゅうを食べたあとに本当に欲しくなった濃いお茶を「怖い」と言ってねだる、というオチです。うそがばれても同じ手を使うずうずうしさが笑いどころです。

なぜ「まんじゅうが怖い」と言ったの?

本当は大好物だからです。怖いと言えば、仲間がいたずらで持ってきてくれると見込んだ作戦でした。

まんじゅうこわいの原典や作者は?

作者はわかっていません。古い記録として、三代目 蝶花楼馬楽の口演を記した大正時代の速記本があり、『饅頭ぎらひ』の題で載っています。中国の古い笑い話に似た話があり、そこから伝わったという説もあります。

この噺のまんじゅうは肉まんのこと?

違います。小麦の皮であんこを包んだ甘い和菓子です。甘いものを食べたあとだからこそ、濃いお茶が欲しくなるというオチにつながります。

漫画に出てくる噺家の笑門亭福来は実在の人?

実在しません。このシリーズのために作った架空の語り手です。

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