第9話手加減をやめた日、世界が燃えたティタノマキア(ティターン神族との戦い)
シリーズ第9話。子に王座を奪われるのを恐れた父クロノスと、ただ一人逃れた末の子ゼウスたちの十年の戦、その最後の一日。ついに力を抑えるのをやめたゼウスが世界ごと燃えるほどの雷を放ち、百の腕を持つ三人が三百の岩で天を覆って、古い神々を天の高さと同じだけ深いタルタロスへ送る。
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最後まで読んでくれてありがとう!
地獄よりも深い場所、タルタロス。神々でさえ恐れた世界の底を巡るツアー。
シリーズ第9話。子に王座を奪われるのを恐れた父クロノスと、ただ一人逃れた末の子ゼウスたちの十年の戦、その最後の一日。ついに力を抑えるのをやめたゼウスが世界ごと燃えるほどの雷を放ち、百の腕を持つ三人が三百の岩で天を覆って、古い神々を天の高さと同じだけ深いタルタロスへ送る。
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地獄よりも深い場所、タルタロス。神々でさえ恐れた世界の底を巡るツアー。
この話のもとになった神話
ティタノマキアは、ギリシャ神話で「ティタン(ティターン)の神々との戦い」という意味の言葉です。古い世代の神々の王クロノスと、その子ゼウスたち新しい世代の神々が、天の王座をめぐって争いました。
この話のもとになっているのは、紀元前700年ごろの詩人ヘシオドスが書いた詩『神統記』です。そこでは、自分の子に王座を奪われることを恐れたクロノスが、生まれた子を次々に飲みこみ、末の子ゼウスだけが母レアの計らいで助かったと語られます。戦いは十年たっても決着がつかず、ゼウスは大地の女神ガイアの助言にしたがって、地下に閉じこめられていた百の腕を持つ三神を味方に呼び戻しました。第9話は、その長い戦いの最後の一日を描いています。
ゼウスの呼びかけと、百手の三神の一人コットスの「力を貸そう」という答えを聞いて、神々は前よりもいっそう戦う気持ちを強めます。その日のうちに、女神も男神もそろって戦いに出ました。片方はティタンの神々、もう片方はクロノスの子どもたちと、百本の腕と五十の頭を持つ三神です。三神は大きな岩を手に陣を組み、ティタンも負けじと隊列を固めました。
ぶつかり合いが始まると、海はうなり、大地はとどろき、天まで揺れて、オリュンポスの山は根もとから震えました。その響きは、地の底のタルタロスにまで届いたとされています。
ここでゼウスは、それまで抑えていた力をついにすべて解き放ちます。天からもオリュンポスからも、雷と稲妻を休みなく投げつけながら進みました。大地は燃え、森は音を立てて焼け、海やオケアノス(世界を取り巻くと考えられた大きな流れ)までが煮えたぎります。熱と光はティタンたちの目をくらませ、熱はカオスにまで届きました。見ても聞いても、天と地がぶつかり合うような光景だったといいます。
やがて形勢が傾きます。先頭に立ったコットス、ブリアレオス、ギュエスの三神が三百の岩を立て続けに投げ、ティタンを岩の影で覆いつくしました。そして地の下へ押しこみ、苦しい鎖で縛ります。その場所タルタロスは、天が地から離れているのと同じだけ、大地の下深くにあるとされます。なお、この場面には「勝った」というはっきりした宣言はなく、ティタンが閉じこめられたことで勝負がついたとわかる書き方になっています。
中心になるのはゼウスと、百手の三神(コットス、ブリアレオス、ギュエス)です。ゼウスは雷で戦場全体を焼き、三神は岩でティタンを地下へ押しこむという、役割の分かれた活躍をします。
いっぽう、ティタンの神々やゼウス側の神々は「軍勢」としてまとめて描かれ、一人ひとりの名前や戦いぶりは、この場面の原典には書かれていません。三神のうち名前以外の特徴があるのは、「戦いに飽きることのない」と呼ばれるギュエスと、ゼウスと言葉を交わしたコットスくらいです。
『神統記』は、世界の始まりから神々がどう生まれ、ゼウスがどうやって神々の王になったかを語る詩です。天の神ウラノス、その子クロノス、さらにその子ゼウスへと、王座が三代にわたって移っていく流れが軸になっていて、ティタノマキアはその最大の山場にあたります。
ゼウスは力だけで勝ったわけではなく、閉じこめられていた百手の三神を自由にし、その恩に応えた三神の力を借りて勝利しています。子を飲みこんで王座を守ろうとしたクロノスに対し、仲間を味方につけるゼウスこそ新しい王にふさわしい、という読み方もできます。また、王が子に倒される神話は古代オリエント(今の中東あたり)にも似たものがあり、その影響を受けたという説もあります。
原典に書かれているのは、軍勢と軍勢がぶつかる大きな流れだけで、神々の見た目はほとんど書かれていません。漫画では、ティタンやオリュンポスの神々の顔や服、武具、両軍の陣地の地形、ゼウスの雷の形や色、ゼウスが立つ位置などを新しくデザインしています。百手の三神も、原典にあるのは「肩から百本の腕と五十の頭」「がっしりした手足」だけなので、腕や頭の並び方、体の大きさや肌の色は漫画オリジナルです。
三百の岩の大きさや投げ方、ティタンを縛る鎖の様子、女神たちが戦う姿、擬音やセリフも漫画で足した部分です。原典の決戦の場面では、神々は言葉を話さず、叫びや雄叫びをあげるだけです。そのかわり、一対一の決闘は作らず「軍勢対軍勢」の戦いとして描いている点は、原典に合わせています。
雷で大地が燃え、三百の岩が空を覆う。文字だけでは想像が追いつかないほどの場面を、漫画では大きなコマで見ることができます。「ギリシャ神話 ―天の王座をめぐる三代―」は、Manga Portalで全話無料・会員登録なしで読めます。前の話からさかのぼって読むと、クロノスがなぜ子を恐れたのか、ゼウスがどうやって仲間を集めたのかもよくわかります。
ギリシャ神話で、クロノスたち古い世代のティタン神族と、ゼウスたち新しい世代の神々が、天の王座をめぐって戦った戦争のことです。ヘシオドスの『神統記』にくわしく語られています。
ゼウスたちオリュンポス側が勝ちました。ゼウスの雷と百手の三神が投げた岩によってティタンは地下へ押しこまれ、鎖で縛られてタルタロスに閉じこめられます。
『神統記』では、十年ものあいだ決着がつかなかったとされています。百手の三神がゼウスの味方についたことで、ようやく形勢が変わりました。
百本の腕と五十の頭を持つコットス、ブリアレオス、ギュエスの三神です。地下に閉じこめられていたところをゼウスに助けられ、ティタノマキアで大きな役割を果たしました。「ヘカトンケイル(百の手を持つ者)」という呼び名は、後の時代の書き物で使われるようになったものです。
大地のはるか下にある暗い場所で、『神統記』では、天が地から離れているのと同じだけ地下深くにあるとされます。戦いに敗れたティタンたちはここに閉じこめられました。