弥次郎兵衛(弥次さん)とは
知ったかぶりの旅の主人公
栃面屋弥次郎兵衛(やじろべえ)
弥次郎兵衛(やじろべえ)とは、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』の主人公で、相棒の喜多八と江戸からお伊勢参りへ歩いて旅をする男です。「弥次さん」の呼び名で親しまれています。駿河の府中(今の静岡市)の商家に生まれましたが、遊びで財産を使い果たし、江戸の神田八丁堀に移り住みました。
物語では、暮らしが行きづまり、厄落としを口実に旅に出ます。小田原の宿では五右衛門風呂の入り方を知らないのに知ったかぶりをして下駄で入り、三島の宿では親切にしてくれた道連れに旅の金を盗まれます。見栄っぱりで口が達者なうえ、どんな失敗をしても懲りないところが、この人物の面白さです。
弥次さんは、できごとを五七五七七の狂歌によく詠みます。二人の名前から生まれた「弥次喜多」は、のんきで愉快な二人組や、笑いの多い旅をさす言葉としても使われています。
登場する話5
第1話
人生どん底、なぜか笑顔で旅に出る東海道中膝栗毛
家も仕事もお金もなくした中年のヤジさんと、お店をクビになった相棒のキタさん。「厄落としだ、伊勢へ行こう!」――ダメな二人が日本橋から品川へ旅立つ、200年前のロードトリップの第1話。
19ページ第2話
知ったかぶりで、風呂に下駄で入った男五右衛門風呂
宿の五右衛門風呂の入り方を知らないのに「そんなの常識よ」と見栄を張った弥次さん。下駄ばきでこっそりごまかしたのを相棒の喜多さんが真似して、200年前の「初めての風呂」は大失敗に終わる。
19ページ第3話
旅先で優しすぎる人に気をつけろ東海道中膝栗毛(箱根・三島)
箱根の急坂と関所をやっと越えた弥次さんは、自慢話に感心してくれる親切な道連れにすっかり心を許す。三島の宿で夜中にすっぽんのいたずらをして大騒ぎした翌朝、旅の金がそっくり消えていた。
19ページ第4話
故郷で見栄を張ったら、とろろまみれ鞠子のとろろ汁
一文無しの弥次さんは、昔遊びで親の店を食いつぶした故郷・府中で「江戸で成功した男」を演じながら、こっそり旅費を借りる。その銭で楽しみにしていた鞠子の名物とろろ汁を食べようとするが、店の夫婦喧嘩を止めに入って四人そろってとろろの海で大乱闘。見栄を張って銭まで置いてきてしまう。
19ページ第5話
人に担がれたニセ侍、もう降りられない大井川
橋のない大井川を前に、川越し賃を浮かせようと侍に化けた弥次さんと家来役の喜多さん。人足の肩の上で威張り散らすが、大河のど真ん中で腰の刀がとんでもないことになり、降りられない場所で嘘がばれる。
19ページ