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第4話故郷で見栄を張ったら、とろろまみれ鞠子のとろろ汁

一文無しの弥次さんは、昔遊びで親の店を食いつぶした故郷・府中で「江戸で成功した男」を演じながら、こっそり旅費を借りる。その銭で楽しみにしていた鞠子の名物とろろ汁を食べようとするが、店の夫婦喧嘩を止めに入って四人そろってとろろの海で大乱闘。見栄を張って銭まで置いてきてしまう。

19ページ全話無料・会員登録なし

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この話のあらすじ

江戸を出た弥次郎兵衛と喜多八は、箱根を越えて三島の宿まで来たところで、道連れになった胡麻の灰に路銀を盗まれます。胡麻の灰とは、旅人をねらう盗人のことです。懐がさびしくなった二人は、沼津、原、吉原、蒲原、由比、興津、江尻と、小さな失敗を重ねながら西へ進み、駿河の府中に着きます。 府中は弥次郎兵衛の故郷です。弥次郎兵衛はこの町の商家の生まれでしたが、遊びで財産を使い果たし、喜多八を連れて江戸へ出てきたという過去を持っています。二人はここでなんとか旅費を工面し、ひと息つきます。ここまでが二編の終わりの流れです。 三編に入ると、二人は府中を発って安倍川を渡り、すぐ先の鞠子の宿に入ります。

原典東海道中膝栗毛 ―弥次さん喜多さん珍道中― — 日本 · 享和2年〜文化11年(1802〜1814年)

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この話のもとになった物語

東海道中膝栗毛 鞠子のとろろ汁のあらすじ|弥次喜多の夫婦喧嘩騒動とは

ひとことで言うと: 「鞠子のとろろ汁」は、弥次郎兵衛と喜多八が鞠子(丸子)の宿で名物のとろろ汁を食べようとしたところ、店の夫婦喧嘩でとろろが飛び散り、結局食べられないまま宿を後にする、十返舎一九『東海道中膝栗毛』の物語です。喜劇の舞台は、弥次郎兵衛の故郷である府中を発ってすぐの場所です。

原典のあらすじ:府中から鞠子のとろろ汁騒動まで

江戸を出た弥次郎兵衛と喜多八は、箱根を越えて三島の宿まで来たところで、道連れになった胡麻の灰に路銀を盗まれます。胡麻の灰とは、旅人をねらう盗人のことです。懐がさびしくなった二人は、沼津、原、吉原、蒲原、由比、興津、江尻と、小さな失敗を重ねながら西へ進み、駿河の府中に着きます。

府中は弥次郎兵衛の故郷です。弥次郎兵衛はこの町の商家の生まれでしたが、遊びで財産を使い果たし、喜多八を連れて江戸へ出てきたという過去を持っています。二人はここでなんとか旅費を工面し、ひと息つきます。ここまでが二編の終わりの流れです。

三編に入ると、二人は府中を発って安倍川を渡り、すぐ先の鞠子の宿に入ります。お目当ては名物のとろろ汁です。ところが茶屋で注文すると、店の亭主と女房が言い争いを始め、つかみ合いの大喧嘩に発展します。すり鉢のとろろはあたりに飛び散り、店の中は大騒ぎです。

騒ぎに巻き込まれた二人は、結局とろろ汁を口にできません。夫婦喧嘩ととろろを掛けた狂歌を詠んで笑いに変え、宇津ノ谷峠のほうへ歩いていきます。楽しみにしていた名物を前に何も得られないまま、歌だけ残して去るところが、この場面のおかしさです。

主な登場人物

弥次郎兵衛は、お調子者で見栄っぱりな年長の旅人です。口が達者で、失敗してもごまかし、狂歌で場をまとめようとします。相棒の喜多八は、もとは旅役者の若者で、軽はずみで調子に乗りやすい性格です。二人はいつも軽口を言い合いながら旅をしています。

鞠子の場面では、とろろ汁屋の亭主と女房が騒動の中心です。どちらも一歩も引かずに言い合い、つかみ合いになります。主役の二人は、ここでは騒ぎのそばで振り回される側に回ります。

この話の背景:江戸の旅と鞠子の名物

『東海道中膝栗毛』は、享和2年(1802)から文化6年(1809)にかけて正編8編が刊行された滑稽本です。題名の「膝栗毛」は、自分の膝を栗毛の馬の代わりにする、つまり歩いて旅をするという意味です。当時は伊勢参りの旅が庶民の楽しみになっており、街道の宿場や名物を笑いとともに味わえるこの本は、大きな人気を集めました。

鞠子は東海道の宿場の一つで、現在の静岡市駿河区にあたります。とろろ汁は、すりおろした山の芋をだしでのばした料理で、この土地の名物として古くから知られていました。松尾芭蕉も句に詠み、歌川広重も浮世絵「東海道五十三次」の丸子の絵に名物の茶店を描いています。読者にとっても「あの名物だ」とすぐにわかる題材だったといえます。

この話に、立派な教訓があるわけではありません。楽しみにしていたものが目の前で台無しになり、損をしても歌にして笑ってしまう。その軽さこそが、弥次喜多の旅の魅力です。なお、府中は作者の一九自身の生まれた土地でもあります。

漫画版で変えたところ

漫画では、原典の大筋を保ちながら、笑いの場面を大きくふくらませています。一番大きな創作は、弥次さんが故郷で「江戸で成功した男」を演じる見栄の場面です。府中で旅費を工面すること自体は調査メモにありますが、誰にどう頼み、どう言いくるめるか、昔を知る人に会ってどう気まずくなるかは、漫画の演出です。原典で知人がどう描かれているかは、まだ確かめきれていません。

とろろの場面も同じです。夫婦喧嘩でとろろが飛び散るところまでは原典の筋ですが、喧嘩の原因となる口論の中身、弥次喜多が止めに入って四人そろって「とろろの海」で大乱闘する動きや擬音は、漫画のために作ったものです。見栄を張って銭まで置いてくるオチも、確認できている原典の筋には入っていません。

このほか、府中や鞠子の町並み、茶屋の看板などの背景は江戸後期の考証に沿って描いています。狂歌は言葉遊びが命なので、英語版では訳を付けず、新しく書いた英語の言葉遊びと短い注で伝えています。

漫画で読むには

文章で読むと短い騒動ですが、漫画ではとろろが飛ぶ勢いや、見栄を張る弥次さんの情けない表情まで一緒に楽しめます。第4話「故郷で見栄を張ったら、とろろまみれ ―鞠子のとろろ汁―」は、このページの上で読めます。Manga Portal の『東海道中膝栗毛 ―弥次さん喜多さん珍道中―』は全話無料で、会員登録もいりません。気になったら、ぜひ二人の旅に付き合ってみてください。

この話の登場人物

弥次郎兵衛(やじろべえ)
駿河府中の商家の出で、遊びで財産を使い果たして江戸へ出た、見栄っぱりで口達者な旅の年長者。
喜多八(きたはち)
もとは旅役者で、弥次郎兵衛と府中から江戸へ出てきた、軽はずみで調子に乗りやすい若い相棒。
とろろ汁屋の亭主(とろろじるやのていしゅ)
鞠子の茶屋の主人で、女房との口論から大喧嘩を始め、騒動のもとをつくる男。
とろろ汁屋の女房(とろろじるやのにょうぼう)
亭主に負けずに言い返し、つかみ合いの喧嘩になる気の強い女性。
胡麻の灰(ごまのはい)
道連れのふりをして近づき、三島の宿で二人の路銀を盗む盗人。

よくある質問

弥次さん喜多さんは鞠子でとろろ汁を食べられたの?

原典では食べられません。店の亭主と女房の大喧嘩でとろろが飛び散ってしまい、二人は口にできないまま宿を後にします。

弥次さんの故郷はどこ?

駿河の府中で、現在の静岡市にあたります。弥次郎兵衛はこの町の商家の出ですが、遊びで財産を使い果たし、喜多八を連れて江戸へ出てきました。

「膝栗毛」とはどういう意味?

自分の膝を栗毛の馬の代わりにして、歩いて旅をするという意味です。馬に乗らず徒歩で旅をする二人の物語にぴったりの題名です。

鞠子の宿はどこにあった?

東海道の宿場の一つで、現在の静岡市駿河区にあたり、丸子とも書きます。名物のとろろ汁で知られ、この話の後、二人は宇津ノ谷峠へ向かいます。

漫画の第4話は原典どおり?

府中を通り、鞠子で夫婦喧嘩のためにとろろ汁を食べそこねる大筋は原典に沿っています。一方、故郷で成功者を演じる場面の細部や、四人でとろろまみれになる大乱闘は漫画の演出です。

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