日本語言語を選ぶ

第6話誰も吹いていない角笛が、歌いだすほら吹き男爵・凍った角笛

シリーズ第6話。凍てつく帰り道で合図の角笛が鳴らず、狭い道で鉢合わせした男爵は、馬車も馬も担いで道を抜ける。だが宿の炉端で待っていたのは、語りたがりの男爵さえ黙らせる音だった。※語りの枠と聞き手、御者の性格、宿の静かな場面、音符の表現は脚色です。

19ページ全話無料・会員登録なし

ほかの言語で読む:English简体中文繁體中文한국어EspañolFrançais

1 / 19
2 / 19
3 / 19
4 / 19
5 / 19
6 / 19
7 / 19
8 / 19
9 / 19
10 / 19
11 / 19
12 / 19
13 / 19
14 / 19
15 / 19
16 / 19
17 / 19
18 / 19
19 / 19

最後まで読んでくれてありがとう!

次回予告 · 制作中第7話 第七夜 鯨に引かれた船

巨大な鯨が怒って錨をくわえ、船ごと海を走り出した。

この作品はここまで。次はこちらもどうぞ

続きが出たらすぐ読めるよう、この作品のページをブックマークしておいてください: ほら吹き男爵の冒険この作品の RSS

新しい話の公開を SNS でお知らせしています。フォローしてください:ThreadsBluesky(英語)

この話のあらすじ

トルコとの講和で自由の身になった男爵は、幼い皇帝たちがシベリアへ送られた政変の頃に、ロシアのサンクトペテルブルクを発ちます。その冬はヨーロッパじゅうが異常な寒さで、男爵は、あれ以来太陽が凍傷にかかったままらしい、と冗談まじりに語ります。帰り道は行きよりも難儀な旅になりました。 駅馬車で狭い道に入った男爵は、向こうから別の旅人が入ってこないよう、御者に角笛で合図をさせます。ところが、御者が力いっぱい吹いても音が出ません。理由がわからないうちに向かいから馬車が来て、鉢合わせになり、どちらも進めなくなります。

原典ほら吹き男爵の冒険 — ドイツ · 1785年(英語版)・1786年(ドイツ語版)

RSS

この話のもとになった物語

ほら吹き男爵「凍った角笛」のあらすじ|馬車を担いだ男爵と鳴り出す音

ひとことで言うと: 「凍った角笛」は、寒さで鳴らなかった角笛の中で曲が凍りつき、宿の火で溶けてひとりでに鳴り出すという、『ほら吹き男爵の冒険』(ラスペ著、1785年)のほら話です。狭い道で向かいの馬車と鉢合わせした男爵は、自分の馬車と馬を担いで生け垣を跳び越え、道を抜けます。

「凍った角笛」の元のあらすじ

トルコとの講和で自由の身になった男爵は、幼い皇帝たちがシベリアへ送られた政変の頃に、ロシアのサンクトペテルブルクを発ちます。その冬はヨーロッパじゅうが異常な寒さで、男爵は、あれ以来太陽が凍傷にかかったままらしい、と冗談まじりに語ります。帰り道は行きよりも難儀な旅になりました。

駅馬車で狭い道に入った男爵は、向こうから別の旅人が入ってこないよう、御者に角笛で合図をさせます。ところが、御者が力いっぱい吹いても音が出ません。理由がわからないうちに向かいから馬車が来て、鉢合わせになり、どちらも進めなくなります。

そこで男爵は馬車を降り、自分の馬車を車輪ごと頭に載せて、高さ約9フィート(約2.7メートル)の生け垣を跳び越えて畑に入ります。もう一度跳んで、相手の馬車の先の道へ出ました。さらに馬を取りに戻り、一頭を頭に載せ、もう一頭を左腕に抱えて、同じやり方で運びます。腕の馬は4歳にならない気の荒い馬で、跳ぶのを嫌がって暴れたため、後ろ脚を上着のポケットに押し込んだそうです。この話は、宿に着いたあとで、言い忘れていたこととして付け足されます。

宿に着くと、御者は角笛を台所の火の近くの釘に掛け、男爵は火の反対側に座ります。すると突然、誰も吹いていない角笛が鳴りました。曲が角笛の中で凍っていて、火で溶けて出てきたのです。角笛はしばらくさまざまな曲を鳴らし続け、御者の腕前のよさまで明らかになります。男爵はここでロシアの旅の話を締めくくり、この話を疑う人は気の毒だ、話の第2部が始まる前に席を立ってほしい、と言います。

この話の面白さは、平然とした語り口

この話の笑いどころは、とんでもないことを当たり前のように話す男爵の語り方です。馬車を担いで跳ぶのに、自分は力が強いからと事もなげに言い、大変だったと認めるのは馬車の重さの分くらいです。暴れる馬をポケットで抑えたことさえ、付け足しのように語ります。

前半の「鳴らない角笛」が、後半の「ひとりでに鳴る角笛」につながる組み立ても見事です。音が凍るはずはないのに、話の中では一応の理屈が通ってしまいます。最後に、疑う人は出ていってくれと強く言い張るところも、ほら話らしいしめくくりと読めます。

時代と文化の背景

ほら吹き男爵には、モデルがいます。18世紀のドイツの貴族ミュンヒハウゼン男爵で、ロシア軍で働いたあと故郷に戻り、旅や狩りの大げさな話をしたと伝えられています。本は、ドイツ生まれのルドルフ・エーリヒ・ラスペがイギリスで英語で出し、のちにドイツ語版も作られて広まりました。ただし、作品の中の冒険は、実際にあった出来事の記録ではありません。

凍った言葉や音が溶けて聞こえるという笑い話は、この本だけのものではありません。たとえばフランスのラブレーの物語にも、凍った言葉が溶けて聞こえてくる場面があります。この章がそうした話から直接影響を受けたかどうかは、ここでは断定できません。

漫画版で変えたところ

合図の角笛が鳴らないこと、狭い道での鉢合わせ、男爵が馬車も馬も担いで道を抜けること、宿で角笛が鳴り出すことは、原典にある話です。

一方で、語りの枠と聞き手、御者の性格、宿の静かな場面、音符の表現は、漫画の脚色です。原典では、聞き手がいることは終わりの呼びかけからわかる程度で、人物としては描かれていません。御者も名前や容姿は書かれていません。宿の場面は短く、気分の描写はほとんどなく、はっきり出てくるのは男爵と御者の二人だけです。

漫画では、炉端の音が語りたがりの男爵さえ黙らせる場面が見どころですが、原典の男爵が音を聞いて黙ったとは書かれていません。原典の男爵は、話の真実性を言い張って章を終えます。読み比べると、同じ話の別の味わいが楽しめます。

漫画で読むには

文章では短く語られる、溶けた音が鳴り出す瞬間を、漫画では音符の表現と静かな炉端の場面で味わえます。この第6話「誰も吹いていない角笛が、歌いだす」は、シリーズ『ほら吹き男爵の冒険 ―十四夜の大ぼら―』の一話です。全話無料で、会員登録もいりません。男爵の跳躍と、そのあとに訪れる静けさの違いを、ページをめくって確かめてみてください。

この話の登場人物

ミュンヒハウゼン男爵(みゅんひはうぜんだんしゃく)
この話の語り手で主人公。馬車を担いで跳んだことも平然と語り、疑う人には席を立つよう求める。
御者(ぎょしゃ)
男爵の駅馬車を走らせ、角笛を吹く人。名前は書かれておらず、溶け出した曲で腕前のよさが明らかになる。
向かいの馬車の旅人(むかいのばしゃのたびびと)
狭い道で鉢合わせになる相手。原典には馬車が来たことしか書かれていない。
2頭の馬(にとうのうま)
男爵の馬車を引く馬。一頭は頭に載せられ、もう一頭は左腕に抱えられて暴れ、後ろ脚をポケットに入れられる。
聞き手の一座(ききてのいちざ)
男爵の話を聞いている人たち。原典では終わりの呼びかけから、いることがわかる程度である。

よくある質問

ほら吹き男爵の「凍った角笛」とはどんな話?

寒さで音が出なかった角笛が、宿の火のそばで溶けて、ひとりでに曲を鳴らし始める話です。途中で男爵が馬車と馬を担いで生け垣を跳び越える場面もあります。

角笛はなぜ鳴らなかったの?

男爵の話では、吹いた曲が寒さで角笛の中に凍りついていたからです。もちろん実際に起きることではなく、ほら話ならではの理屈です。

男爵は馬をポケットに入れたの?

ポケットに入れたのは馬全体ではなく、暴れる馬の後ろ脚です。男爵は、この馬を左腕に抱えて生け垣を跳び越えたと語っています。

ほら吹き男爵は実在の人物?

モデルになった、18世紀のドイツの貴族ミュンヒハウゼン男爵は実在しました。ただし、本に書かれた冒険は事実の記録ではなく、物語として楽しむものです。

『ほら吹き男爵の冒険』の作者は誰?

ルドルフ・エーリヒ・ラスペです。1785年に英語で初版が出され、のちにドイツ語版も作られて広まりました。

漫画を最初から読む(無料)