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第3話この馬、いくら飲んでも足りないほら吹き男爵の冒険

シリーズ第3話。誰にも乗れない荒馬を乗りこなし、敵の町へ一番乗りした男爵の馬は、泉の水をいくら飲んでも満足しない。振り返った男爵が見たものとは。※語りの枠と流血のない喜劇の描き方は脚色で、冒険はすべて創作です。

19ページ全話無料・会員登録なし

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次回予告 · 制作中第4話 第四夜 砲弾に乗って敵の城へ

世界一有名な「ほら」。砲弾に乗って敵陣を偵察、そして帰りはどうする?

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この話のあらすじ

リトアニアのプルゾボフスキー伯爵の邸に滞在していた男爵が、婦人たちと茶を飲んでいると、庭が騒がしくなります。牧場から届いた若い血統馬が暴れ出し、腕自慢の騎手たちもひるんで近づけないのです。男爵は一跳びで背にまたがり、馬術でおとなしくさせてしまいます。 男爵は婦人たちにも見せようと、開いた窓から馬ごと茶の間へ飛び込み、部屋の中を並足、速足、駆け足で回ります。最後はティーテーブルの上で同じ動きを小さくやってみせますが、茶碗も受け皿も一つも割りません。感心した伯爵は、まもなく始まるトルコ戦役で乗るようにと、この馬を男爵に贈ります。

原典ほら吹き男爵の冒険 — ドイツ · 1785年(英語版)・1786年(ドイツ語版)

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この話のもとになった物語

ほら吹き男爵の冒険 あらすじ|半分になった馬と月桂樹の話とは

ひとことで言うと: 「半分になった馬」は、ミュンヒハウゼン男爵が荒馬を乗りこなしてトルコ戦役に出陣し、城門の落とし格子で後ろ半分を断たれた馬を、月桂樹の枝で縫い合わせてもらう、『ほら吹き男爵の冒険』のほら話です。馬が泉の水をいくら飲んでも満足せず、振り返ると後ろ半分がなかった、という場面が見どころです。

元の物語のあらすじ① 茶卓の上を歩いた荒馬

リトアニアのプルゾボフスキー伯爵の邸に滞在していた男爵が、婦人たちと茶を飲んでいると、庭が騒がしくなります。牧場から届いた若い血統馬が暴れ出し、腕自慢の騎手たちもひるんで近づけないのです。男爵は一跳びで背にまたがり、馬術でおとなしくさせてしまいます。

男爵は婦人たちにも見せようと、開いた窓から馬ごと茶の間へ飛び込み、部屋の中を並足、速足、駆け足で回ります。最後はティーテーブルの上で同じ動きを小さくやってみせますが、茶碗も受け皿も一つも割りません。感心した伯爵は、まもなく始まるトルコ戦役で乗るようにと、この馬を男爵に贈ります。

元の物語のあらすじ② 水を飲み続ける馬の秘密

男爵はミュンニヒ伯が指揮するロシア軍の戦役に加わり、トルコ軍をオチャコフへ追い込む戦いに出ます。砂煙の中を迫る敵を見ると、部下の軽騎兵たちに両側で砂煙を立てさせ、自分は正面から進んで相手を確かめます。そして敵が退き始めたところで攻めかかり、敗走させました。

足の速い馬のおかげで、男爵は追撃の先頭に立ち、敵を追って城壁の町に入ります。敵が反対側の門から逃げるのを見て広場で止まると、部下は一人もいません。待つ間に、息を切らした馬に広場の泉で水を飲ませると、馬はいつまでも飲み続けて満足しません。部下を探して振り返った男爵が見たのは、後ろ半分のない馬でした。飲んだ水は、そのまま流れ出ていたのです。

男爵が城門へ戻ると、敵が落とした落とし格子が馬の後ろを断っていたと分かり、後ろ半分は門の外に残っていました。部隊の蹄鉄工は、まだ温かいうちに前後を合わせ、手近にあった月桂樹の小枝と若枝で縫い合わせます。傷は癒え、枝は馬の体に根付いて伸び、男爵の頭上に木陰を作りました。その後の多くの出陣で、男爵は馬に生えた月桂樹の木陰で進めるようになった、というのがこの話の落ちです。

この話の背景と、伝えていること

男爵にはモデルがいます。18世紀のドイツの貴族ヒエロニュムス・カール・フリードリヒ・フォン・ミュンヒハウゼンで、ロシア軍に仕えてトルコとの戦争に加わった人です。話し上手として知られていたと伝えられます。ただし本を書いたのは本人ではありません。ルドルフ・エーリヒ・ラスペが1785年に英語で出版し、翌年ゴットフリート・アウグスト・ビュルガーがドイツ語版を出しました。

舞台にも現実の歴史があります。オチャコフは黒海の近くにあった要塞の町で、ミュンニヒ伯も実在の軍人です。物語の中で男爵は、この戦役をピョートル大帝のプルート川での戦いで傷ついたロシア軍の名誉を取り戻す戦いだったと説明します。本物の歴史を背景に、ありえない出来事を真顔で語る。その落差が笑いを生んでいます。

この話に、はっきりした教訓は書かれていません。楽しいのは語り方そのものです。馬が半分になっても男爵は落ち着いて原因を探し、最後には、木陰までできたと得意げに語ります。うそだと分かっていても、次はどうなるのかと聞きたくなる。ほら話のおもしろさがよく出た一編です。

漫画版で変えたところ

荒馬を乗りこなすこと、敵を追って町に入ること、馬が泉の水を飲み続けることは、原典にある出来事です。一方、漫画の喜劇としての細かな描き方は創作です。戦場は血を見せない描き方にし、馬の表情や仕草、婦人たちや伯爵の外見やせりふ、蹄鉄工の人物像、茶器が揺れるようなギャグは、漫画で足した部分です。後ろ半分の馬の見せ方や、軽騎兵たちがどこにいたのかの説明も、原典の細部にとらわれず作っています。ただし、茶器を一つも割らないという結果は変えていません。

語りの形にも違いがあります。男爵が自分の冒険を語るという枠は原典にありますが、聞き手の様子などの具体的な場面は漫画の演出です。また、漫画の紹介にある「敵の町へ一番乗り」は分かりやすくまとめた言い方で、原典では、敗走する敵を追ううちに先頭で町へ入った形になっています。この町をオチャコフそのものと言い切れるかは確かめきれていないため、この記事では「城壁の町」と書きました。なお、男爵の冒険は史実ではなく、すべて創作の物語です。

漫画で読むには

茶卓の上を歩く馬や、水を飲み続ける馬のおかしさは、絵で見るとまた違った味わいがあります。『ほら吹き男爵の冒険 ―十四夜の大ぼら―』は Manga Portal で全話無料、会員登録なしで読めます。男爵が振り返る瞬間を、ぜひこの第3話で確かめてみてください。

この話の登場人物

ミュンヒハウゼン男爵(みゅんひはうぜんだんしゃく)
物語の語り手で主人公。誰も乗れない荒馬を一跳びで乗りこなし、自分の冒険を堂々と語る。
リトアニアの馬(りとあにあのうま)
伯爵から男爵に贈られた、足の速い若い血統馬。原典に固有の名はなく、後ろ半分を断たれても月桂樹の枝で縫われて生き続ける。
プルゾボフスキー伯爵(ぷるぞぼふすきーはくしゃく)
リトアニアの邸の主。男爵の馬術に感心し、戦役で乗るようにと馬を贈る。
伯爵邸の婦人たち(はくしゃくていのふじんたち)
茶の間で茶を飲んでいた人たちで、茶卓の上で演じる馬の芸を喜ぶ。
ミュンニヒ伯(みゅんにひはく)
トルコ戦役を指揮する将軍として名前が出てくる人物。
蹄鉄工(ていてつこう)
男爵の部隊の馬の世話係で、名前は語られない。断たれた馬の前後を、手近な月桂樹の枝で縫い合わせる。

よくある質問

ほら吹き男爵の馬はなぜ半分になったのですか?

敵を追って城門を走り抜けたときに、敵が落とした落とし格子で後ろ半分を断たれたからです。男爵はすぐには気づかず、広場の泉で馬が水を飲み続けるのを見たあと、振り返って初めて知ります。

半分になった馬はその後どうなりますか?

部隊の蹄鉄工が、温かいうちに前後を合わせ、月桂樹の小枝と若枝で縫い合わせます。傷は癒え、枝が根付いて伸びたので、男爵はその後の多くの出陣を馬の木陰で行えるようになります。

ほら吹き男爵は実在の人物ですか?

モデルになった人物は実在します。18世紀のドイツの貴族ミュンヒハウゼンで、ロシア軍に仕えてトルコとの戦争に加わりました。ただし、本に書かれた冒険は史実ではなく創作です。

『ほら吹き男爵の冒険』の作者は誰ですか?

1785年に英語版を出したルドルフ・エーリヒ・ラスペと、1786年にドイツ語版を出したゴットフリート・アウグスト・ビュルガーの名前が挙げられます。モデルになった男爵本人が書いた本ではありません。

男爵は馬に乗ったまま茶碗を割らなかったのですか?

はい。原典では、窓から茶の間へ馬で入り、ティーテーブルの上でも歩かせますが、茶碗も受け皿も一つも割りません。この芸に感心した伯爵が、馬を男爵に贈ります。

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