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第7話謝れば済むのに、カラスのふり柿山伏

シリーズ第7話。腹ぺこで柿を盗み食いした見栄っ張りの山伏が、全部お見通しの柿主に「カラスなら鳴け」「トビなら飛べ」と乗せられます。謝れば済むのに謝れない男は、ついに木の上から本当に飛んでしまう――六百年笑われ続ける狂言「柿山伏」です。

19ページ全話無料・会員登録なし

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次回予告 · 制作中第8話 茸 ―祈るほど増える化けきのこ―

家にキノコが生えて困る→お祓いを頼む→祈るほど増える。600年前の日本のホラーコメディ。

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この話のあらすじ

狂言は、能とともに受け継がれてきた日本の古い喜劇です。歌や舞が中心の能に対して、狂言はせりふとしぐさで、人間のおかしさや失敗を笑いにします。『柿山伏』はその代表的な演目の一つで、学校の授業で出会った人もいるかもしれません。 登場するのは、主役(シテ)の山伏と、相手役(アド)の柿主の二人だけです。どちらにも固有の名前はありません。ずるい心、見栄、からかいたい気持ちといった、誰にでもありそうな感情だけで話が進むので、昔の言葉づかいでも筋はとてもわかりやすい作品です。

原典狂言傑作集 ―笑いの六百年― — 日本 · 室町時代〜江戸時代(『狂言記』1660年刊)

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この話のもとになった物語

柿山伏のあらすじ|カラスのふりをする山伏の狂言をわかりやすく解説

ひとことで言うと: 「柿山伏(かきやまぶし)」は、修行帰りの山伏が他人の柿を盗み食いし、持ち主にからかわれて烏や猿のまねをしたあげく、鳶のまねで木から飛び降りて腰を打つ話です。最後は介抱をめぐって持ち主と追いかけ合いになる、大蔵流・和泉流に伝わる狂言『柿山伏』の物語です。

柿山伏とは? どんな狂言か

狂言は、能とともに受け継がれてきた日本の古い喜劇です。歌や舞が中心の能に対して、狂言はせりふとしぐさで、人間のおかしさや失敗を笑いにします。『柿山伏』はその代表的な演目の一つで、学校の授業で出会った人もいるかもしれません。

登場するのは、主役(シテ)の山伏と、相手役(アド)の柿主の二人だけです。どちらにも固有の名前はありません。ずるい心、見栄、からかいたい気持ちといった、誰にでもありそうな感情だけで話が進むので、昔の言葉づかいでも筋はとてもわかりやすい作品です。

元の狂言のあらすじ

大峰・葛城で修行を終えた山伏が、帰り道でひどくお腹をすかせます。道ばたに実のなった柿の木を見つけると、木に登り、他人の柿を勝手に食べ始めます。

そこへ見回りに来たのが柿主です。食べられた柿に気づき、木の上の山伏も見つけます。山伏は顔を隠してやり過ごそうとしますが、柿主は相手の正体を承知のうえで、わざと「あれは烏だ」と言い出します。「烏なら鳴くはずだ」と言われた山伏は、ばれたくない一心で「こかあ、こかあ」と鳴きまねをします。

柿主のからかいは続きます。「猿なら鳴くはずだ」と言われれば猿のまねをし、「鳶なら飛ぶはずだ」とはやされれば羽ばたくしぐさをして、ついに木から飛び降ります。もちろん飛べるはずもなく、落ちて腰を打ってしまいます。

ここから立場が変わります。怒った山伏は柿主をなじって介抱を求めますが、柿主は取り合わずに帰ろうとします。すると山伏は祈祷の力で柿主を引き戻します。柿主はしかたなく山伏を背負いますが、途中で放り出して逃げ、山伏がそれを追いかけて幕となります。どちらが勝つかは決まらないまま終わります。

どこが面白い? 笑いの見どころ

いちばんの笑いどころは、柿主が全部わかったうえで山伏を試し、山伏がそれに気づかず必死に応えるところです。烏から猿、鳶へとまねが難しくなるにつれて、「もうやめておけばいいのに」というおかしさが積み重なっていきます。

舞台では本物の木を置かないとされ、木の上にいる様子も鳴きまねも、役者の声としぐさで見せます。観客が頭の中で木を思い描くからこそ、「飛ぶ」瞬間がいっそう楽しくなる作りです。

この狂言の背景 ― 山伏と笑い

山伏とは、山にこもって厳しい修行をし、祈祷の力を持つとされた修行者のことです。大峰や葛城は、そうした修行で知られた山々です。山伏が出てくる狂言は「山伏狂言」と呼ばれ、えらそうな修行者の弱さやおかしさが、よく笑いの種になります。

この話でも、修行を終えたはずの人が空腹に負けて柿を盗み、落ちれば怒って祈祷の力まで持ち出します。ただし、悪者を厳しく罰して教訓を語る話ではありません。立派そうな人も一皮むけば同じ人間だと笑い合うところに、狂言らしい温かさがあると受け取ることもできます。

漫画版で変えたところ

柿を盗み食いすること、烏・猿・鳶のまねをさせられること、木から飛び降りて落ちることは、原典にある筋です。「謝れば済むのに謝れない男」という見せ方は、この筋から漫画が強く打ち出した読みどころです。

一方、次の点は漫画の創作や工夫です。山伏と柿主の外見・年齢・性格の細かいところ、季節や道の風景、舞台にはない本物の柿の木の絵、柿の味や空腹の描写、心の声、鳴き声の擬音などがこれにあたります。また、同じ山伏が第8話にも登場するという続き方は、シリーズ独自の脚色で、原典にはありません。

漫画で読むには

Manga Portalの『狂言 ―笑いの六百年―』第7話で、この話を読めます。全話無料で、会員登録もいりません。舞台ではしぐさで見せる場面が、絵になるとどう見えるのか。木の上で必死に鳴く山伏の顔を、ぜひ漫画で確かめてみてください。

この話の登場人物

山伏(やまぶし)
大峰・葛城での修行を終えて帰る途中の修行者で、空腹に負けて柿を盗み食いし、見つかりたくない一心で鳴きまねや飛ぶまねをしてしまう主役です。
柿主(かきぬし)
柿の木の持ち主で、木の上の山伏の正体を分かったうえで、烏・猿・鳶と言い立ててからかう機転のきく人物です。

よくある質問

柿山伏はどんな話?

修行帰りの山伏が他人の柿を盗み食いし、持ち主に「烏なら鳴け」「鳶なら飛べ」とからかわれる狂言です。山伏は言われるまままねをして木から飛び降り、腰を打ちます。最後は柿主と山伏の追いかけ合いで終わります。

柿山伏の山伏はなぜ鳴きまねをしたの?

柿を盗んだ自分の正体を知られたくなかったからです。柿主が「あれは烏だ」と言うのに合わせれば、人間だとばれずに済むと思ったのです。実は柿主は最初から全部わかっていて、わざとからかっていました。

柿山伏の結末はどうなる?

腰を打った山伏は介抱を求め、祈祷の力で帰ろうとする柿主を引き戻して背負わせます。しかし柿主は途中で山伏を放り出して逃げ、山伏が追いかけて幕となります。どちらが勝つかは決まらないまま終わります。

柿山伏の「シテ」と「アド」とは?

シテは狂言の主役、アドはその相手役のことです。『柿山伏』では山伏がシテ、柿主がアドにあたります。登場人物はこの二人だけです。

漫画版と原典の狂言は同じ話?

盗み食い、鳴きまね、木から飛び降りるという中心の筋は原典にもとづいています。人物の外見や風景、心の声などの描写は漫画の創作です。山伏が第8話にも登場する設定も、シリーズ独自の脚色です。

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