日本語言語を選ぶ

第2話誰も見ていない、開いた金箱正心(忍術書『万川集海』)

家族に冬を越させたい伊賀の若い忍び・与市が、初めての潜入の夜、誰もいない部屋でふたの開いた金箱を前にする。本物の忍術書が一枚目に説いた掟「正心」を描く物語。

19ページ全話無料・会員登録なし

ほかの言語で読む:English简体中文繁體中文한국어EspañolFrançais

1 / 19
2 / 19
3 / 19
4 / 19
5 / 19
6 / 19
7 / 19
8 / 19
9 / 19
10 / 19
11 / 19
12 / 19
13 / 19
14 / 19
15 / 19
16 / 19
17 / 19
18 / 19
19 / 19

最後まで読んでくれてありがとう!

次回予告 · 制作中第3話 風魔小太郎 ―関東の乱波―

「“伝説の忍者”風魔小太郎、原典の姿はこうだった ―身長2m超え・牙4本・声は5km先まで」

この作品はここまで。次はこちらもどうぞ

続きが出たらすぐ読めるよう、この作品のページをブックマークしておいてください: 忍者列伝この作品の RSS

新しい話の公開を SNS でお知らせしています。フォローしてください:ThreadsBluesky(英語)

この話のあらすじ

『万川集海(ばんせんしゅうかい)』は、伊賀と甲賀に伝わっていた忍術を一冊にまとめた、忍術の総合書です。序は延宝4年(1676)、伊賀の藤林保武が書きました。書名には、たくさんの川(いろいろな流れの術)を一つの海に集める、という意味が込められています。 この本は物語ではありません。登場人物が冒険するのではなく、忍びの心構えや術、道具が順番に説明されている教科書のような本です。漫画の第2話は、この本の中身をもとに、人物と出来事を新しく作って物語にしたものです。

原典忍者列伝 ―風魔・伊賀・甲賀の影― — 日本 · 北条五代記(1641年)・万川集海(1676年)・立川文庫『猿飛佐助』(1914年)

RSS

この話のもとになった物語

万川集海の「正心」とは?忍術書の掟とあらすじ|忍者列伝 第2話

ひとことで言うと: 「正心(せいしん)」は、江戸時代前期の延宝4年(1676)に藤林保武がまとめた忍術書『万川集海』が、術より先に説いた忍びの根本の心構えです。仁義や忠信を忘れて術を自分の欲のために使えば、忍びは盗賊と変わらない、と戒めています。漫画『忍者列伝』第2話は、この教えを、初めての潜入の夜に開いたままの金箱を前にした伊賀の若い忍び・与市の物語として描いています。

『万川集海』とはどんな本?

『万川集海(ばんせんしゅうかい)』は、伊賀と甲賀に伝わっていた忍術を一冊にまとめた、忍術の総合書です。序は延宝4年(1676)、伊賀の藤林保武が書きました。書名には、たくさんの川(いろいろな流れの術)を一つの海に集める、という意味が込められています。

この本は物語ではありません。登場人物が冒険するのではなく、忍びの心構えや術、道具が順番に説明されている教科書のような本です。漫画の第2話は、この本の中身をもとに、人物と出来事を新しく作って物語にしたものです。

原典の中身(あらすじ)

序と凡例のあと、巻一では問答の形で、忍術が兵法の中でどんな位置にあり、なぜ必要なのかを説きます。続く巻二〜三が、第2話の題材になった「正心」です。そのあと「将知」では、忍びを使う大将の心得、合言葉や合印などの約束事、敵の忍びの防ぎ方が述べられます。

巻八〜十の「陽忍(ようにん)」は、姿を見せたまま計略や偽りの身分で敵方に入り込む術です。前もって敵地に人を潜ませておく考え方や、敵地の地形・城・人の心を探って報告することが書かれています。巻十一以降の「陰忍(いんにん)」は、夜の闇などにまぎれ、姿を隠して城や陣、家に忍び込む術で、忍び込む時機や番人の油断の見極め、戸や錠を開ける心得などを述べます。

さらに「天時」では月の満ち欠けや天気、時刻の選び方を、最後の「忍器」では、登るための道具、水を渡る道具、戸を開ける道具、火を使う道具を、図とともに説明しています。

「正心」が伝えていること

正心の巻で大切なのは、忍びの根本は正しい心にあり、はかりごとや偽りの計略は「末」、つまり後からついてくるものだ、という考え方です。どれほど術がうまくても、仁義や忠信を守らず自分の得のために使えば、それは盗賊のしわざと同じだと戒めています。

忍術には、忍び込む、だます、戸を開けるといった、使い方しだいで犯罪にもなる技がたくさん含まれます。だからこそ、この本は術を教える前に心のあり方を置いたと考えられます。また、生き死ににとらわれない覚悟や、主君の命令を果たすことを第一にする心構えも説かれているとされますが、細かな言い回しには確かめきれない部分があります。

この本がまとめられたのは戦がほぼなくなった江戸時代前期です。戦国の世の伝えを書き残しておこうとした書物でもある、と見ることができます。

漫画版で変えたところ・足したところ

主人公の与市、彼を教える師、二人の修行の日々、初めての任務の筋は、すべて漫画の創作です。原典には特定の主人公は出てきません。潜入する城下の場所や任務の中身、そして誰もいない部屋でふたの開いた金箱を見つける場面と、家族に冬を越させたいという与市の心の揺れも、物語として作ったものです。

作中で正心の教えを語る台詞は、原典の文章をそのまま引いたものではありません。「根本は正心、術を私欲に使えば盗賊と同じ」という原典の趣旨から外れないように言い換えています。また、本の成立は1676年ですが、物語の時代は戦国時代の終わりごろに置いています。伝えられてきた術を過去の時代に置いた脚色です。鉤縄や水蜘蛛などの道具は、写本の図に沿って描いています。

漫画で読むには

文字で読むと固く感じる「正心」の教えも、誰にも見られていない場所で、困っている若者が金箱を前にするという場面にすると、ぐっと身近な問いになります。与市がその夜どう動くのかは、ぜひ漫画で確かめてみてください。

『忍者列伝 ―風魔・伊賀・甲賀の影―』は、Manga Portal で全話無料、会員登録なしで読めます。第1話から順に読むと、修行の場面や陽忍・陰忍の術、忍器の使い方もあわせて楽しめます。

この話の登場人物

与市(よいち)
漫画の主人公で、伊賀の若い忍び。家族に冬を越させたいと願いながら初めての潜入に臨む(創作の人物)。
師(し)
与市に陽忍・陰忍・忍器・正心を教える伊賀の上忍。教える内容は原典に沿っている(創作の人物)。
藤林保武(ふじばやし やすたけ)
『万川集海』の編者である伊賀の人。伊賀・甲賀の伝えを集め、延宝4年(1676)に序を書いた。
伊賀・甲賀の名人たち
原典が過去の名手として名前を挙げる忍びたち。名前と出身地が挙がる程度で、人物の描写はない。

よくある質問

『万川集海』とは何ですか?

伊賀と甲賀に伝わる忍術を一冊に集めた忍術の総合書です。延宝4年(1676)に伊賀の藤林保武が序を書きました。心構え、術、天候の選び方、道具までを順にまとめています。

忍術書の「正心」とはどういう意味?

忍びの根本は正しい心にある、という教えです。仁義や忠信を守らずに術を自分の欲のために使えば、盗賊と変わらないと戒めています。

陽忍と陰忍の違いは?

陽忍は、姿を見せたまま計略や偽りの身分で敵方に入り込む術です。陰忍は、夜の闇などにまぎれて姿を隠し、城や家に忍び込む術です。

水蜘蛛で本当に水の上を歩けたの?

『万川集海』の忍器の巻には、水を渡る道具として水蜘蛛が図とともに出てきます。ただ、水面を歩く道具ではなく浮き具として使ったのではないか、という後の研究による説もあります。

漫画の与市は実在の忍者ですか?

いいえ、与市と師は漫画のために作った人物です。金箱の場面も創作ですが、そこで問われる「正心」の教えは原典の趣旨に沿っています。

漫画を最初から読む(無料)