日本の古典 恋物語の登場人物
このシリーズには、在原業平とされる「昔男」、光源氏と六条御息所、歌人の和泉式部、雨月物語の真女児や磯良、道成寺の清姫など、日本の古典を代表する恋の主人公と妖しい存在が登場します。原典と通説にもとづいて、それぞれが何者なのか、どの話でどんな運命をたどるのかを紹介します。
登場人物一覧22
昔男 男
伊勢物語の恋の主人公
昔男(むかしおとこ)とは、平安時代の歌物語『伊勢物語』の多くの段に「昔、男ありけり」と書かれて登場する主人公のことです。原典では名前は書かれていませんが、歌の多くが在原業平の歌で…
2話に登場:第1話, 第8話二条の后
昔男が愛した身分の高い姫
二条の后(にじょうのきさき)とは、のちに清和天皇の妃となり、陽成天皇の母となった藤原高子(ふじわらのたかいこ)のことです。『伊勢物語』では、若いころの彼女が昔男の恋の相手として描…
2話に登場:第1話, 第8話光源氏
源氏物語の美しい貴公子
光源氏(ひかるげんじ)とは、紫式部が書いた『源氏物語』の主人公で、桐壺帝の皇子として生まれ、臣下の「源氏」となった美しく才能あふれる貴公子です。多くの女性と恋をし、その喜びと苦し…
2話に登場:第2話, 第6話六条御息所
生霊になった誇り高い恋人
六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)とは、『源氏物語』に登場する光源氏の年上の恋人で、亡くなった前の東宮(皇太子)の妃です。教養が高く誇り高い女性で、強い思いから生霊となって人…
2話に登場:第2話, 第6話葵の上
物の怪に苦しんだ源氏の正妻
葵の上(あおいのうえ)とは、『源氏物語』に登場する光源氏の最初の正妻で、左大臣と大宮の娘です。気位が高く、源氏とはなかなか打ち解けられませんでした。
1話に登場:第6話和泉式部
恋に生きた平安の天才歌人
和泉式部(いずみしきぶ)とは、平安時代中ごろの女性歌人で、情熱的な恋の歌で知られます。中宮彰子に仕え、紫式部とも同じ時代を生きました。百人一首の「あらざらむこの世のほかの思ひ出に…
2話に登場:第3話, 第11話帥宮
橘の花で恋を始めた皇子
帥宮(そちのみや)とは、冷泉天皇の皇子・敦道親王(あつみちしんのう)のことで、『和泉式部日記』の相手役です。和泉式部の亡き恋人・為尊親王の弟にあたります。
1話に登場:第3話為尊親王
和泉式部が亡くした恋人
為尊親王(ためたかしんのう)とは、冷泉天皇の皇子で、和泉式部の恋人だった人物です。帥宮(敦道親王)の兄にあたり、若くして亡くなりました。
1話に登場:第3話豊雄 大宅豊雄
蛇の化身に愛された若者
豊雄(とよお)とは、上田秋成『雨月物語』の一編「蛇性の婬」の主人公で、紀伊国三輪が崎の網元・大宅竹助の三男です。家業より学問や雅を好む、やさしい若者です。
1話に登場:第4話真女児
豊雄を愛した白蛇の化身
真女児(まなご)とは、『雨月物語』「蛇性の婬」に登場する、この世の人とは思えないほど美しい女です。正体は年を経た大きな蛇で、豊雄に恋いこがれて、どこまでも追いかけます。
1話に登場:第4話勝四郎
七年帰れなかった夫
勝四郎(かつしろう)とは、上田秋成『雨月物語』の一編「浅茅が宿」の主人公で、下総国葛飾郡真間の郷に住む男です。農作業をきらって家を傾けたため、立て直そうと商いに出ます。
1話に登場:第7話宮木
約束を信じて待ちつづけた妻
宮木(みやぎ)とは、『雨月物語』「浅茅が宿」に登場する勝四郎の妻で、美しく心の優れた女性です。
1話に登場:第7話正太郎 井沢正太郎
妻を裏切った放蕩息子
正太郎(しょうたろう)とは、上田秋成『雨月物語』の一編「吉備津の釜」の主人公で、吉備国の豊かな農家・井沢家の一人息子です。酒と女遊びに溺れ、親も手を焼いていました。
1話に登場:第9話磯良
怨霊となった裏切られた妻
磯良(いそら)とは、『雨月物語』「吉備津の釜」に登場する正太郎の妻で、吉備津神社の神主・香央造酒の娘です。夫に裏切られ、怨霊となって復讐します。
1話に登場:第9話安珍 若い僧
約束を破って逃げた若い僧
安珍(あんちん)とは、和歌山県の道成寺に伝わる「安珍と清姫」の話に登場する若い僧です。『今昔物語集』などの古い原典では名前がなく「若い僧」と書かれ、安珍という名は後の時代に付けら…
1話に登場:第10話清姫 女
恋の恨みで大蛇になった女
清姫(きよひめ)とは、道成寺の「安珍と清姫」の話で、裏切られた恨みから大蛇になった女性です。『今昔物語集』などの古い原典では名前がなく、夫を亡くした家の女主人として書かれています…
1話に登場:第10話芥川の鬼 鬼
女を一口で呑んだ蔵の鬼
芥川の鬼(あくたがわのおに)とは、『伊勢物語』第6段「芥川」で、荒れた蔵の中で女を一口で食べてしまったとされる存在です。原典には姿が書かれていません。
1話に登場:第1話梓弓の女 女
三年夫を待ちつづけた妻
梓弓の女(あずさゆみのおんな)とは、『伊勢物語』第24段「梓弓」に登場する、宮仕えに出た夫を三年待ちつづけた妻です。原典では名前のない「女」として書かれています。
1話に登場:第5話梓弓の男 男
三年ぶりに戻った夫
梓弓の男(あずさゆみのおとこ)とは、『伊勢物語』第24段「梓弓」に登場する、片田舎で妻と暮らしていた男です。宮仕えのため都へ出て、三年のあいだ戻りませんでした。
1話に登場:第5話貴船明神 貴布禰の明神
和泉式部に返歌をした神
貴船明神(きふねみょうじん)とは、京都の奥、貴船の社(今の貴船神社)にまつられる神のことです。水の神として信仰され、恋の願いをかなえる神としても知られています。
1話に登場:第11話斎宮
伊勢へ下った御息所の娘
斎宮(さいぐう)とは、『源氏物語』で六条御息所の娘にあたる姫君のことです。斎宮は、天皇に代わって伊勢神宮に仕えるため選ばれる未婚の皇族女性の役目で、この姫君は十四歳ほどでその役に…
1話に登場:第2話真間の手児奈
真間に伝わる伝説の娘
真間の手児奈(ままのてごな)とは、下総国の真間(今の千葉県市川市)に古くから伝わる伝説の美しい娘です。多くの男に想いを寄せられ、思い悩んだ末に身を投げたと伝えられ、『万葉集』にも…
1話に登場:第7話