父王とは
神託に従ったプシュケの父
父王(ちちおう)
父王(ちちおう)とは、プシュケと二人の姉の父で、ある国の王です。原典には王の名前も国の名前も書かれていません。
上の二人の娘は王たちに嫁いだのに、いちばん美しい末娘にだけ求婚者が現れないことをなげき、神々の怒りではないかと恐れて、ミレトスのアポロンの神託をうかがいます。返ってきたのは「娘を花嫁として山の岩に置け」という恐ろしいお告げでした。王は悲しみながらも王妃とともに神託に従い、婚礼とも葬式ともつかない行列で娘を山へ送り出します。その後は家に閉じこもり、娘を失ったと思いこんで深くなげき悲しみます。
古代の地中海世界では、大事な決断の前に神託をうかがうことがよくあり、神のお告げにそむくことは大きな災いを招くと考えられていました。
登場する話2
第1話
美しすぎて、誰にも愛されない王女エロスとプシュケ(キューピッドとプシュケ)
誰もが拝むのに、誰も恋をしない――美しすぎる王女プシュケは、女神ヴィーナスの嫉妬を買ってしまう。シリーズ第1話。「誰かに私を見てほしい」と父に打ち明けたプシュケに、予言の神の神託は「花嫁として山の岩に置け。夫は翼ある魔物」と告げる。
19ページ第2話
怪物に嫁ぐ日、花嫁は笑ったエロスとプシュケ(キューピッドとプシュケ)
シリーズ第2話。「人ではない夫」に嫁ぐため山の岩へ送られるプシュケは、泣く両親を逆に励まし、自分の足で列の先頭を歩く。岩の上にひとり残された彼女は、西風に自分から身をあずけ、顔のない声だけが仕える黄金の宮殿へ――そして夜、闇の中で何かが近づいてくる。
19ページ