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第3話夫の顔だけは、見てはいけないエロスとプシュケ(キューピッドとプシュケ)

シリーズ第3話。「夫は怪物だ」というお告げのまま、灯りの消えた寝室で顔も名前も知らない夫を迎えたプシュケ。声と手のぬくもりに少しずつ心を開いていくが、ある夜、夫は「私の顔を、見ようとするな」と告げる――あなたなら、この約束を守れますか?

19ページ全話無料・会員登録なし

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次回予告 · 制作中第4話 姉たちの訪問 ―黄金の宮殿―

妹は幸せになった。だから、姉たちは許せなかった。

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この話のあらすじ

プシュケはある王の三人娘の末っ子です。人々が女神ウェヌス(ギリシア神話のアフロディテ)のように拝むほど美しかったため、女神の怒りを買ってしまいます。やがて「娘は人間ではない恐ろしいものと結婚する」というお告げが下り、プシュケは山の岩の上に置き去りにされました。 そこへ西風がやって来て、彼女を谷間の黄金の宮殿へ運びます。宮殿には姿のない「声」だけの召使いたちがいて、湯あみや食事、音楽で彼女をもてなしました。ここまでが第5巻1〜3節のお話で、第3話の物語はこの続きにあたります。

原典エロスとプシュケ ―見てはならない夫― — ローマ · 2世紀後半(170年ごろ。北アフリカ出身のローマ帝国の作家アプレイウスの小説『変身物語(黄金のろば)』全11巻のうち、第4巻28節〜第6巻24節に挿入された物語)。物語の舞台は神話の時代のギリシャ・小アジアの王国

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この話のもとになった神話

エロスとプシュケのあらすじ|見てはならない夫との約束とは

ひとことで言うと: 「見てはならない夫」は、黄金の宮殿で暮らすことになった娘プシュケのもとへ、顔も名前もわからない夫が毎晩やって来て、「姉たちにそそのかされて、私の姿を探ってはならない」と約束させる場面です。出典は、2世紀ローマの作家アプレイウスが書いた『変身物語(黄金のろば)』のなかの「クピドとプシュケ」第5巻4〜6節です。

物語の前提:なぜプシュケは見えない夫と暮らすのか

プシュケはある王の三人娘の末っ子です。人々が女神ウェヌス(ギリシア神話のアフロディテ)のように拝むほど美しかったため、女神の怒りを買ってしまいます。やがて「娘は人間ではない恐ろしいものと結婚する」というお告げが下り、プシュケは山の岩の上に置き去りにされました。

そこへ西風がやって来て、彼女を谷間の黄金の宮殿へ運びます。宮殿には姿のない「声」だけの召使いたちがいて、湯あみや食事、音楽で彼女をもてなしました。ここまでが第5巻1〜3節のお話で、第3話の物語はこの続きにあたります。

元の神話のあらすじ(第5巻4〜6節)

夜になると、ひとりきりのプシュケは何よりも「相手の正体がわからない」ことにおびえていました。そこへ名前も知らない夫がやって来て彼女を妻とし、夜が明ける前に立ち去ります。これが毎晩くり返されるうちに、慣れが不安を喜びに変え、声たちのおかげで寂しさもやわらいでいきました。

一方、実家の両親は娘が死んだと思いこみ、嘆き悲しんで老けこんでしまいます。うわさを聞いた二人の姉も実家へかけつけました。ある夜、夫は「姉たちがお前を捜して岩へ来るが、泣き声が聞こえても応えるな。見ようともするな」と警告し、プシュケはいったん約束します。

しかし翌日、彼女は「幸せな牢獄に閉じこめられて、家族をなぐさめることもできない」と一日中泣き続け、食事もとりませんでした。いつもより早く来た夫は彼女をとがめますが、「会えないなら死ぬ」とまで言われて折れ、姉たちに会うことと贈り物を渡すことを許します。そのうえで「姉たちの言葉にのって私の姿を探れば、二度と私に抱かれることはない」と何度も念を押しました。プシュケは「あなたが誰であっても、自分の魂と同じくらい愛している」と答え、甘い言葉で西風に姉たちを運ばせる約束まで取りつけます。

この神話が伝えていること(文化・時代の背景)

夫の正体は、ウェヌスの息子で愛の神クピド(アモル)です。ギリシアではエロス、英語ではキューピッドと呼ばれます。そして「プシュケ」はギリシア語で「魂」や「心」を意味する言葉です。そのため、この物語を「魂が愛を求めてさまよう話」として読む解釈も古くからあります。

「見てはいけない」と言われるほど見たくなる、という禁止のモチーフは、世界中の昔話に見られます。日本神話で、イザナギが「見ないで」と言われた黄泉の国のイザナミを見てしまう話と比べてみるのも面白いでしょう。この場面の夫の念押しは、後の大きな事件へつながる伏線になっています。

漫画版で変えたところ

原典は、夜ごとの暮らしを「慣れて喜びに変わった」と短く書くだけです。漫画では、夫のやさしい声や手のぬくもり、夜ごとの会話を描いて、プシュケが少しずつ心を開いていく様子を見せています。寝室の暗さや月明かり、翼の影で夫の顔を隠す画面づくりも、漫画のオリジナルです。

また原典では、夫の警告と許しは二晩に分かれていますが、漫画ではひと晩の場面にまとめています。プシュケが夫の手を握って「ここに残る」と選ぶ場面や、「姿を見れば一緒にいられない」という言い方も脚色です。灯りで夫の顔を照らす有名な場面は、原典ではもっと後(第5巻22節以降)に出てきます。

漫画で読むには

顔も名前もわからない相手を、それでも信じられるのか。プシュケの揺れる気持ちは、文章で読むよりも、闇と光で描いた漫画のほうがずっと身近に感じられるはずです。Manga Portal の『エロスとプシュケ ―見てはならない夫―』は全話無料、会員登録なしで読めます。あなたならこの約束を守れるか、考えながらページをめくってみてください。

この話の登場人物

プシュケ(ぷしゅけ)
ある王の末娘で、女神のように崇められるほど美しい主人公。見えない夫を愛するようになるが、家族を思う情の深さから姉たちとの再会を願う。
夫/クピド(くぴど)
夜だけ訪れる姿の見えない夫で、正体は愛の神(ギリシアのエロス、英語のキューピッド)。プシュケに「姿を探るな」と念を押す。
姿のない声たち(すがたのないこえたち)
黄金の宮殿で、声だけでプシュケに仕える見えない召使いたち。
二人の姉(ふたりのあね)
他国の王に嫁いだプシュケの姉たち。妹を捜しに来るが、夫からは危険な存在として警戒されている。
両親(りょうしん)
娘が死んだと思いこみ、深い嘆きのなかで老けこんでしまう王と王妃。
西風(にしかぜ/ゼピュロス)
プシュケを岩から宮殿へ運んだ風。プシュケは姉たちも同じように運ばせてほしいと夫に頼む。

よくある質問

エロスとプシュケはどんな話?

美しすぎる娘プシュケが、顔の見えない夫と宮殿で暮らすことになる恋の物語です。夫の正体は愛の神エロス(クピド)で、「姿を見てはいけない」という約束をめぐって、二人の運命が大きく動いていきます。

キューピッドとエロスは同じ神?

同じ愛の神を指しています。ギリシア神話ではエロス、ローマではクピドやアモルと呼ばれ、英語のキューピッドはクピドから来た呼び名です。

プシュケはなぜ夫の顔を見てはいけないの?

原典では、夫は「姉たちの言葉にのって姿を探れば、この幸せを失い、二度と私に触れられない」と警告します。夫が自分の正体を隠しておきたい理由は、物語のもっと後の展開で明らかになります。

原典の『変身物語』はオウィディウスの作品?

この話の原典は、2世紀のアプレイウスが書いた『変身物語』で、『黄金のろば』とも呼ばれます。同じ題名を持つオウィディウスの『変身物語』とは別の作品なので注意してください。

エロスとプシュケの結末はどうなる?

プシュケはやがて約束を破り、夫を失ってしまいます。その後、女神ウェヌスの与える難しい試練に挑み、最後には神々に認められて夫と結ばれます。

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