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第2話十年守った秘密を、話してしまった夜雪女

怪談傑作集・第2話。吹雪の夜、白い着物の女に命を見逃され「誰にも話すな」と約束させられた若い木こり。十数年後、やさしい妻と十人の子に囲まれた幸せの中で、彼はいちばん話してはいけない相手に、あの夜のことを話してしまう。

19ページ全話無料・会員登録なし

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この話のあらすじ

武蔵の国のある村に、年老いた木こりの茂作と、18歳の弟子・巳之吉が住んでいました。ある冬の夕方、森からの帰り道で二人はひどい吹雪にあいます。渡し舟は向こう岸に置かれたままで川を渡れません。しかたなく、窓も火もない渡し守の小さな小屋に泊まることにしました。 夜中、顔に雪が当たって巳之吉が目を覚ますと、戸が開いていて、白い着物の女が眠る茂作の上にかがみ込み、白く光る煙のような息を吹きかけていました。女は次に巳之吉の上にかがみ込みます。その目はおそろしいのに、とても美しいものでした。女は「若いので今は助けてやる。けれど今夜のことを誰かに話したら、たとえ母親が相手でも私には分かる。

原典怪談傑作集 ―百物語の夜― — 日本 · 話は江戸時代〜明治の伝承。根拠にする原典の刊行は、ハーンの英語版が1902年(Kottō)・1904年(Kwaidan)、円朝の速記本が1884年(怪談牡丹燈籠)・1888年(真景累ケ淵)

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この話のもとになった神話

雪女のあらすじとは?小泉八雲『怪談』巳之吉とお雪の物語

ひとことで言うと: 「雪女」は、吹雪の夜に雪女に命を見逃され「このことは誰にも話すな」と約束させられた若い木こり・巳之吉が、十年あまりたってから、妻のお雪にその夜の話をしてしまう物語です。お雪こそが雪女で、彼女は子どもたちのために夫を殺さず、白い霧になって消えていきます。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の『怪談(Kwaidan)』(1904年)に入っている一話です。

雪女のあらすじ(小泉八雲『怪談』より)

武蔵の国のある村に、年老いた木こりの茂作と、18歳の弟子・巳之吉が住んでいました。ある冬の夕方、森からの帰り道で二人はひどい吹雪にあいます。渡し舟は向こう岸に置かれたままで川を渡れません。しかたなく、窓も火もない渡し守の小さな小屋に泊まることにしました。

夜中、顔に雪が当たって巳之吉が目を覚ますと、戸が開いていて、白い着物の女が眠る茂作の上にかがみ込み、白く光る煙のような息を吹きかけていました。女は次に巳之吉の上にかがみ込みます。その目はおそろしいのに、とても美しいものでした。女は「若いので今は助けてやる。けれど今夜のことを誰かに話したら、たとえ母親が相手でも私には分かる。そのときはお前を殺す」と告げて出ていきます。茂作は氷のように冷たくなって死んでいました。

翌年の冬、巳之吉は旅の途中だという美しい娘・お雪と出会います。母もお雪を気に入り、二人は夫婦になりました。子どもは10人生まれ、お雪は何年たっても村に来た日のように若く、白いままでした。

ある夜、行灯の明かりで縫い物をするお雪を見ながら、巳之吉は「お前によく似た白い女を見たことがある」と、あの夜の出来事をすべて話してしまいます。お雪は縫い物を投げ捨てて立ち上がり、それは自分だったと叫びます。そして「眠っている子どもたちがいなければ、今すぐ殺していた。子どもたちを大切に育てなさい」と言い残し、白い霧になって煙出しから消え、二度と戻りませんでした。

主な登場人物

物語の中心は、約束を守り続けた巳之吉と、正体を隠して妻になった雪女(お雪)の二人です。巳之吉は事件のあと長く寝込みますが、そのあいだも誰にも話さずに約束を守りました。お雪はよい嫁・よい母として暮らし、姑からも感謝されて最期を看取っています。だからこそ、最後の場面の怒りと哀しさが強く心に残ります。

「話してはいけない」約束が伝えていること

雪女は、雪国を中心に日本各地で語られてきた雪の妖怪です。ハーンは前書きで、この話は武蔵の国・西多摩郡調布村(現在の東京都青梅市のあたりとされます)の百姓から聞いた土地の言い伝えだと書いています。ただし、どこまでがもとの言い伝えで、どこからがハーンが物語として整えた部分なのかについては、いろいろな見方があります。

この話の芯にあるのは「秘密を守るという約束」です。世界の昔話には、人ではないものが人と結ばれ、何かの約束が破られると去っていく話がたくさんあります。「雪女」もその仲間と考えられますが、お雪が夫を殺さずに去る理由が「子どもたち」であるところに、この話ならではの哀しさがあります。巳之吉は妻を愛していたからこそ、つい打ち明けてしまったのかもしれません。悪人のいない物語なのに、誰も幸せなまま終われない。そこが長く読みつがれてきた理由の一つでしょう。

漫画版で変えたところ・足したところ

漫画の筋は、原典の出来事と台詞の意味にそって描いています。そのうえで、次の部分は漫画の創作です。

まず、冒頭と結びに、当社オリジナルの語り手・福来が行灯の前で語る「百物語の夜」の枠を置きました。これは原典にはありません。また、原典には「白い着物」「背が高くほっそり」「白い肌」「おそろしいが美しい目」までしか書かれていないため、雪女やお雪の顔立ち・髪・着物の柄は漫画で考えたものです。

さらに、茂作の死を凍る白い息の一コマで見せる演出、村の四季や木こり仕事の場面、話してしまう直前の巳之吉のためらいの表情、お雪が眠る子どもの布団を直すしぐさなども加えています。10人の子どもの名前や性格も原典にはありません。お雪が去ったあとについて、原典は何も書いていないので、漫画でも雪や残された縫い物の余韻を見せるだけにとどめ、後日談は足していません。

漫画で読むには

Manga Portal の『怪談傑作集 ―百物語の夜―』第2話「十年守った秘密を、話してしまった夜 ―雪女―」で、この物語を漫画で読むことができます。吹雪の小屋の暗さや、行灯の下でお雪が正体を明かす場面は、絵で見るとまた違った怖さと切なさがあります。全話無料で、会員登録もいりません。あらすじを知ったうえで、ぜひ一度ページをめくってみてください。

この話の登場人物

巳之吉(みのきち)
茂作の弟子の若い木こりで、雪女に命を見逃され、のちにお雪の夫となって10人の子の父になる主人公。
雪女/お雪(ゆきおんな/おゆき)
吹雪の夜に茂作の命をうばった白い着物の女で、のちに正体を隠して巳之吉の妻・お雪となる。
茂作(もさく)
巳之吉の師匠の年老いた木こりで、渡し守の小屋で雪女の白い息を吹きかけられ凍え死ぬ。
巳之吉の母(みのきちのはは)
お雪を気に入って嫁に迎え、約5年後に嫁をほめ感謝しながら亡くなる。
十人の子どもたち(じゅうにんのこどもたち)
巳之吉とお雪の子で、みな肌が白く器量がよく、母が父を殺さずに去る理由となる。
福来(ふくらい)
漫画版オリジナルの語り手で、冒頭と結びに行灯の前で怪談を語る(原典には登場しない)。

よくある質問

雪女の話の結末はどうなる?

巳之吉が妻のお雪に雪女の夜の話をしてしまい、お雪は自分がその雪女だったと明かします。眠る子どもたちのために夫を殺さず、子どもを大切にするよう言い残して、白い霧になって消えてしまいます。

「雪女」の作者は誰?

よく知られている「雪女」の話は、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が1904年に出した『怪談(Kwaidan)』に入っている一話です。ハーンは、武蔵の国の百姓から聞いた言い伝えだと前書きに書いています。

雪女はなぜ巳之吉を殺さなかったの?

最初の夜は、巳之吉が若くてきれいな若者だったので哀れに思い、見逃しました。約束が破られた最後の場面では、眠っている子どもたちがいるから殺さない、と本人が告げています。

雪女の舞台はどこ?

原典では武蔵の国の村が舞台で、ハーンは西多摩郡調布村の人から聞いた話だとしています。この調布村は、現在の東京都青梅市のあたりとされています。

巳之吉とお雪の子どもは何人?

原典では10人です。みな器量がよく、肌がとても白かったと書かれています。

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