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第3話骨も脂も抜かれた、殿様の好物目黒のさんま

落語傑作集の第3話。生まれて初めて腹ぺこになった殿様が、野原で百姓の焼きたてのさんまにかぶりつき、その味のとりこになる。招かれた先でやっと好物にありつくが、料理番が大まじめに脂と骨を抜いた椀を前に、殿様は見当ちがいの答えをきっぱり言い切る。

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この話のあらすじ

『目黒のさんま』は、世の中のことをよく知らないお殿様が主人公の古典落語です。演じる人によって細かいところは変わりますが、よく知られている筋は次のとおりです。 ある秋の日、殿様は家来を連れて目黒のあたりへ遠乗りに出かけます(鷹狩りとする演じ方もあります)。ところが弁当を持ってこなかったため、殿様も家来もお腹がぺこぺこになります。そこへ、近くの農家(茶屋とすることもあります)から、さんまを焼くいいにおいが流れてきます。家来は「あれは下々の者が食べる安い魚です」と止めますが、殿様はどうしても食べたいと言い、焼きたてのさんまを口にします。そのおいしさに、殿様はすっかり夢中になってしまいます。

原典落語傑作集 — 日本 · 噺は江戸時代〜明治の伝承。筋の根拠にする速記本は1890〜1925年の刊行

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この話のもとになった神話

目黒のさんま あらすじとオチの意味|落語をやさしく解説

『目黒のさんま』のあらすじ

『目黒のさんま』は、世の中のことをよく知らないお殿様が主人公の古典落語です。演じる人によって細かいところは変わりますが、よく知られている筋は次のとおりです。

ある秋の日、殿様は家来を連れて目黒のあたりへ遠乗りに出かけます(鷹狩りとする演じ方もあります)。ところが弁当を持ってこなかったため、殿様も家来もお腹がぺこぺこになります。そこへ、近くの農家(茶屋とすることもあります)から、さんまを焼くいいにおいが流れてきます。家来は「あれは下々の者が食べる安い魚です」と止めますが、殿様はどうしても食べたいと言い、焼きたてのさんまを口にします。そのおいしさに、殿様はすっかり夢中になってしまいます。

ところが屋敷に帰ると、さんまのような魚はお殿様の食事には出てきません。殿様はあの味が忘れられないまま過ごします。やがて親類の屋敷(自分の屋敷とする演じ方もあります)で「お好きなものは」と聞かれ、殿様は迷わず「さんま」と答えます。料理番は日本橋の魚河岸から上等なさんまを取り寄せますが、お体にさわってはいけないと、脂を抜き、小骨を一本ずつ抜いて、お椀の料理に仕立てました。殿様が一口食べると、ぱさぱさで少しもおいしくありません。「このさんまは、どこで手に入れた」と聞くと「日本橋の魚河岸でございます」。すると殿様はきっぱり言います。「それはいかん。さんまは目黒に限る」。

落語とはどんな芸?

落語は、一人の噺家(はなしか)が座布団に座ったまま、扇子と手ぬぐいだけを使って、登場人物全員を演じ分ける日本の話芸です。扇子は箸や刀に、手ぬぐいは本や財布に見立てられ、顔の向きや声の調子を変えるだけで、殿様にも家来にも料理番にもなります。寄席(よせ)と呼ばれる演芸場を中心に、数百年にわたって受けつがれてきました。話の最後に、聞く人をくすっと笑わせる一言「オチ(サゲ)」があるのが大きな特徴です。

話の背景:さんまと殿様の暮らし

江戸時代、さんまは秋になるとたくさんとれる、脂ののった安い魚でした。庶民にとってはおなじみのおかずでしたが、身分の高い武家の食事には、こうした「下魚(げざかな)」は出さないものとされていました。だから殿様は、さんまの味をそれまで知らなかったのです。

また、話の舞台の目黒は、今は東京の町なかですが、当時は江戸の外れにある農村でした。もちろん海はありません。この二つを知っておくと、最後の一言がぐっと楽しくなります。

漫画版で変えたところ・足したところ

漫画の冒頭と結びに登場する噺家・笑門亭福来(しょうもんてい ふくらい)は、このシリーズの架空の語り手です。語り出しやまくら、扇子を箸に見立てるしぐさ、締めのお辞儀は、すべて漫画のための創作です。シリーズは明治・大正の速記本(演者は1930年までに亡くなった人)をもとに筋を確かめ、台本は私たちが自分たちで書きました。この話は演じ方によって細部がちがうため、漫画では広く知られている筋にそっています。

殿様や家の名前は架空のもので、実在の大名家や将軍とは関係ありません。そのほか、遠乗りの道中でお腹が鳴る場面、においに引き寄せられていく様子、農家の人の見た目や人柄とセリフ、秋の目黒の野原の景色、殿様がさんまにかぶりつくときの表情は、漫画で足した演出です。料理番が蒸したり脂を抜いたり、骨抜きで一本ずつ小骨を抜いたりする苦心を何コマもかけて大げさに見せているのも、漫画ならではの工夫です。

オチ(サゲ)の解説:「さんまは目黒に限る」

殿様は、目黒で食べたさんまがおいしかったのは「目黒のさんまだから」だと思い込んでいます。でも目黒には海がなく、さんまがとれるはずもありません。本当においしかった理由は、脂がのったまま焼きたてで、しかもお腹がぺこぺこだったからです。日本橋の魚河岸の上等なさんまがまずかったのは、料理番がていねいに脂と骨を抜いてしまったせいでした。

海の魚を内陸の村の名物だと信じて、大まじめに言い切ってしまう。その世間知らずぶりが、この噺の笑いどころです。

漫画で読む『目黒のさんま』

Manga Portal の『落語傑作集 ―笑いの十二席―』第3話では、腹ぺこの殿様がさんまにかぶりつく場面や、料理番の空回りする手仕事を、絵ならではのテンポで楽しめます。全話無料、会員登録もいりません。落語を聞いたことがない人も、オチの一言を味わいに、気軽にページをめくってみてください。

この話の登場人物

殿様(とのさま)
大名家の当主で、庶民の暮らしや食べ物を知らない世間知らず。目黒で食べた焼きさんまの味のとりこになる。
家来(けらい)
遠乗りのお供の侍。身分の作法を気にして「下魚」のさんまを止めるが、最後は殿様の望みに従う。
農家の者(のうかのもの)
目黒あたりの庶民で、焼いたさんまを殿様に差し出す。茶屋の主人として語られることもある。
料理番(りょうりばん)
親類の屋敷の台所役。殿様の体を気づかって脂と骨を抜き、かえってさんまをまずくしてしまう。
笑門亭福来(しょうもんてい ふくらい)
漫画版の冒頭と結びに登場する、このシリーズの架空の噺家。原典にはいない創作の語り手。

よくある質問

『目黒のさんま』のオチの意味は?

殿様は、目黒で食べたさんまがおいしかったのは目黒産だからだと思い込んでいます。実際の目黒は海のない農村で、おいしさの理由は焼きたてで脂がのっていたことでした。勘違いを大まじめに言い切るところが笑いどころです。

なぜ殿様はさんまを食べたことがなかったの?

江戸時代のさんまは脂の多い安い魚で、庶民のおかずとされていました。身分の高い武家の食事には、こうした「下魚」は出さないものだったためです。

屋敷で出されたさんまはなぜまずかったの?

料理番が殿様の体を気づかい、脂を抜き、小骨を一本ずつ抜いてお椀の料理にしたからです。さんまのおいしさである脂と香ばしさが、すっかり失われてしまいました。

『目黒のさんま』は実話?殿様は誰?

落語の作り話で、モデルの殿様については言い伝えがいくつかありますが、はっきりしたことはわかっていません。漫画版の殿様と家の名前は架空のものです。

目黒は当時どんな場所だった?

今は東京の町なかですが、江戸時代は江戸の外れにある農村でした。海はなく、殿様が遠乗りや鷹狩りに出かけるような野原が広がっていました。

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