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第1話最強の男は、もう戦わないアキレウスの怒り

神官の娘をめぐる王の傲慢がアポロンの疫病を招き、最強の英雄アキレウスは人々の前で大切なものを奪われる。剣を抜きかけた彼を止めたのは、彼にしか見えない女神だった——浜辺で泣く息子のため、母テティスは神々の王の膝にすがる。

19ページ全話無料・会員登録なし

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次回予告第2話 偽りの夢

「総大将の『ドッキリ』で全軍が本気で帰ろうとした話」

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この話のもとになった神話

イリアス第1歌のあらすじ|アキレウスの怒りとは?アガメムノンとの争い

イリアス第1歌のあらすじ(原典)

『イリアス』は、詩人が歌の女神ムーサに「アキレウスの怒りを歌ってほしい」と呼びかけるところから始まります。この怒りが、ギリシャ勢(アカイア勢)に数えきれない苦しみをもたらした、と最初に告げられるのです。舞台はトロイア戦争のさなか、ギリシャ勢が浜辺に船を並べて陣を張っている場所です。

ある日、アポロンに仕える老神官クリュセスが、捕らわれた娘クリュセイスを取り戻すため、たくさんの身代金を持ってやって来ます。兵たちは受け入れるべきだと声を上げますが、総大将アガメムノンだけが拒み、老人を脅して追い返します。神官は海辺でアポロンに祈り、怒ったアポロンは矢を放って、九日のあいだ陣に疫病を広げました。

十日目、アキレウスが集会を開き、予言者カルカスが「神官を辱めたことが原因だ」と明かします。アガメムノンは娘を返すことは認めますが、代わりにアキレウスの取り分であるブリセイスを奪うと言い出します。怒ったアキレウスが剣を抜きかけたとき、女神アテナが後ろから彼の髪をつかんで止めました。その姿はアキレウスにしか見えません。

アキレウスは戦いから身を引き、浜辺で泣きながら母である海の女神テティスに訴えます。その後、オデュッセウスが娘を父のもとへ送り届け、疫病はやみました。そして十二日後、テティスは神々の王ゼウスの膝にすがり、ギリシャ勢が息子を敬うようになるまでトロイア勢に力を与えてほしいと願います。ゼウスが頷いて約束すると、それに気づいたヘラと口論になりますが、ヘパイストスがなだめ、神々は宴のあと眠りにつきます。

主な登場人物

アキレウスは、女神テティスと人間ペレウスの子で、ギリシャ勢でいちばん強い英雄です。足が速く、気性が激しい一方で、神の言葉には素直に従い、罪のない使いの者を気づかう優しさも持っています。母からは「命が短い定め」だと嘆かれています。

アガメムノンはギリシャ勢をまとめる総大将です。自分の取り分と体面にこだわり、神官を脅し、アキレウスからブリセイスを奪います。ほかに、仲裁しようとする老王ネストル、怒りを止めるアテナ、ギリシャ勢の味方をするヘラ、そして息子のために動く母テティスが、物語を大きく動かします。

この神話が伝えていること(文化・時代の背景)

『イリアス』は、古代ギリシャの詩人ホメロスの作とされる長い叙事詩です。作られた時期は紀元前8世紀ごろとする説が多いものの、はっきりとはわかっていません。もともとは文字で読むより、人々の前で歌って聞かせるものだったと考えられています。十年続いたトロイア戦争のうち、最後の年のわずかな日々だけを描いているのが特徴です。

この時代の戦士にとって、戦いで得た「取り分」はただの持ち物ではなく、みんなに認められた名誉のしるしでした。だからアキレウスにとってブリセイスを奪われることは、人前で誇りを踏みにじられることでもあったのです。一方で、捕らわれた女性たちが「取り分」として扱われていることからは、戦争の中で弱い立場の人がどう扱われたかという、当時の厳しい現実も読み取れます。

漫画版で変えたところ・足したところ

漫画の冒頭では、トロイア戦争がどう始まったか(トロイアの王子パリスとスパルタの王妃ヘレネの件)をナレーションで短く紹介しています。これは読みやすくするための脚色で、第1歌ではアキレウスの台詞の中で少し触れられるだけです。ヘレネが連れ去られたのか自分から付いて行ったのかは、伝える人によって話が違います。

登場人物の顔や服、鎧のデザイン、陣の様子、疫病の描き方なども漫画の創作です。原典に書かれているのは、アキレウスの金色の髪、テティスの「銀の足」、アテナの「灰色の目」などごく一部です。また、ネストルの昔話や生贄の儀式の細かい手順、神々の宴などは、テンポよく読めるように短くまとめています。

漫画で読むには

文字で読むと長く感じる第1歌も、漫画なら、アテナが髪をつかむ一瞬や、海から霧のように現れるテティスの姿を目で追いながら楽しめます。この第1話は、最強の英雄が「もう戦わない」と決めるまでを描いた、物語全体の入り口です。Manga Portal では全話を無料・会員登録なしで読めるので、あらすじで気になった場面を、ぜひ漫画でも確かめてみてください。

この話の登場人物

アキレウス(あきれうす)
女神テティスの子で、ギリシャ勢最強の英雄。取り分を奪われた怒りから戦いを離れる。
アガメムノン(あがめむのん)
ギリシャ勢の総大将。神官を脅し、アキレウスからブリセイスを奪う傲慢な王。
テティス(ててぃす)
海の女神でアキレウスの母。泣く息子のため、ゼウスの膝にすがって願う。
アテナ(あてな)
灰色の目の女神。剣を抜きかけたアキレウスの髪をつかみ、言葉で戦えと諭す。
アポロン(あぽろん)
銀の弓を持つ神。自分の神官が辱められたことに怒り、陣に疫病の矢を放つ。
クリュセス(くりゅせす)
アポロンの老神官。捕らわれた娘クリュセイスを取り戻そうとして追い返される。

よくある質問

イリアスとはどんな話?

古代ギリシャの詩人ホメロスの作とされる叙事詩で、トロイア戦争の最後の年の数十日間を描いています。英雄アキレウスの「怒り」が、戦争にどんな結果をもたらすかが中心の物語です。

アキレウスはなぜ怒ったの?

総大将アガメムノンに、戦いの名誉のしるしである取り分のブリセイスを、皆の前で奪われたからです。当時の戦士にとって、それは誇りを傷つけられることでした。

アキレウスはアガメムノンを殺そうとしたの?

剣を抜きかけましたが、女神アテナが後ろから髪をつかんで止めました。アテナの姿はアキレウスにしか見えず、彼は剣ではなく言葉で責めることにします。

イリアスにトロイの木馬やアキレス腱の話は出てくる?

どちらも『イリアス』の本文には出てきません。『イリアス』はヘクトルの葬儀で終わり、木馬の話はそのあとの出来事として、ほかの作品で語られています。

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