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第8話人間に化かされた狐王子の狐

落語傑作集の第8話。娘に化ける狐を見てしまったお調子者の大工が「化かし返してやる」と料理屋で勘定ごと置き去りにするが、「狐は仕返しに来るぞ」と脅されて青くなり、ぼた餅を持って詫びに行く。ところがそのぼた餅さえ、狐の母子には信じてもらえない。

19ページ全話無料・会員登録なし

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次回予告第9話 茶の湯

作法を一切知らずに茶道を始めたご隠居。招かれた客は全員、地獄を見る。

この作品はここまで。次はこちらもどうぞ

この話のあらすじ

「王子の狐」は、江戸を舞台にした古典落語です。江戸の外れにある王子の稲荷の近くを通りかかった男が、一匹の狐が頭に草の葉をのせてくるりと回り、きれいな娘に化けるところを見てしまいます。「誰かを化かすつもりだな」と気づいた男は、怖がるどころか「それなら、こっちが化かし返してやろう」と考えます。 男は知り合いのふりをして「お玉ちゃん」と声をかけます。狐のほうは男をだますつもりで話を合わせ、二人は料理屋の二階へ。男は料理と酒をどんどん勧め、酔った娘が眠りこむと、一人で下へ降りて「勘定は二階の連れが払う」と言い、お土産まで包ませて帰ってしまいます。

原典落語傑作集 — 日本 · 噺は江戸時代〜明治の伝承。筋の根拠にする速記本は1890〜1925年の刊行

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この話のもとになった神話

落語「王子の狐」あらすじとオチの意味|狐を化かした男の話

「王子の狐」のあらすじ

「王子の狐」は、江戸を舞台にした古典落語です。江戸の外れにある王子の稲荷の近くを通りかかった男が、一匹の狐が頭に草の葉をのせてくるりと回り、きれいな娘に化けるところを見てしまいます。「誰かを化かすつもりだな」と気づいた男は、怖がるどころか「それなら、こっちが化かし返してやろう」と考えます。

男は知り合いのふりをして「お玉ちゃん」と声をかけます。狐のほうは男をだますつもりで話を合わせ、二人は料理屋の二階へ。男は料理と酒をどんどん勧め、酔った娘が眠りこむと、一人で下へ降りて「勘定は二階の連れが払う」と言い、お土産まで包ませて帰ってしまいます。店の者が娘を起こすと、驚いた拍子に耳や尻尾が出て正体がばれ、狐はさんざん追い回されて、やっとのことで森へ逃げ帰ります。

男は得意になって知り合いに話しますが、「狐は執念深い。祟られるぞ」と言われて真っ青に。翌日、手土産のぼた餅を持って狐の穴へ謝りに行きます。出てきた子狐に包みを渡すと、子狐は寝込んでいる母狐に見せ、ぼた餅を食べようとします。そこで母狐が言うひと言が、この噺のオチです(後の見出しで解説します)。

落語とは? 一人で全員を演じる日本の話芸

落語は、一人の噺家(はなしか)が座布団に座ったまま、扇子と手ぬぐいだけを使って、登場人物全員を声や顔つき、しぐさで演じ分ける日本の話芸です。扇子は箸や筆に、手ぬぐいは財布や手紙にもなります。江戸時代から寄席(よせ)と呼ばれる演芸場で演じられ、数百年にわたって受け継がれてきました。噺の最後には「オチ(サゲ)」と呼ばれる、ひと言で笑わせて話を締める決めぜりふがあります。

話の背景:狐は人を化かす動物、王子は狐の名所

日本では昔から、狐は人を化かす(だます)動物だと考えられてきました。木の葉をお金に見せたり、美しい女性に化けたりして人をからかう話は、各地の昔話に数多く残っています。一方で狐は、稲荷の神さまのお使いとして大切にされる存在でもありました。

噺の舞台の王子は、今の東京都北区にあたります。ここには関東の稲荷の中心とされる神社があり、江戸の人々には「狐の名所」として知られていました。大みそかの夜に関東じゅうの狐が集まり、狐火(きつねび)が見えたという言い伝えもあります。江戸の人にとって「王子で狐に出会う」のは、いかにもありそうな話だったのです。

漫画版で変えたところ・足したところ

漫画の筋は、明治・大正のころに出版された落語の速記本(演者は1930年までに亡くなった人)で確かめ、台本は私たちが一から書きました。娘に化ける、料理屋で置き去りにする、祟りを恐れて謝りに行く、母狐の最後のひと言、という流れは原典どおりです。

一方で、冒頭と結びに登場する噺家「笑門亭福来(しょうもんてい・ふくらい)」は、このシリーズのために作った架空の語り手です。稲荷神社や料理屋の名前・看板、料理やお土産の品目、季節、男の見た目、祟りをおどす知り合いの人物像なども漫画の創作です。また、店の者が狐を追う場面は、原典では叩かれる描写があるとされますが、漫画ではほうきやお盆を振り回すドタバタの追いかけっこにしています。

オチ(サゲ)の解説:「馬の糞かもしれない」

ぼた餅を食べようとする子狐に、母狐はこう言います。「食べちゃいけないよ。馬の糞かもしれない」。

これが笑えるのは、昔話の中で「馬の糞をぼた餅やおまんじゅうに見せかけて人に食べさせる」のが、まさに狐のお決まりのいたずらだったからです。人を化かすはずの狐が、人間にすっかり化かされたせいで、今度は人間の贈り物を疑い、子どもに「人間は人を化かすから気をつけなさい」と言い聞かせている。だます側とだまされる側が、最後にきれいに入れかわってしまうところがオチになっています。

漫画で読むには

Manga Portalの『落語傑作集 ―笑いの十二席―』第8話「人間に化かされた狐 ―王子の狐―」では、狐が娘に化ける場面や料理屋でのやりとり、穴の前で頭を下げる男の姿を、絵でテンポよく楽しめます。全話無料・会員登録なしで読めるので、オチを知ったうえで、もう一度表情や間(ま)に注目して読み返してみるのもおすすめです。ほかの十一席もあわせてどうぞ。

この話の登場人物

男(おとこ)
狐が化けるところを見て、逆に化かし返す江戸の町人。ずる賢いが、祟りの話に青くなってすぐ謝りに行く小心者。
狐(きつね)
王子の稲荷の森にすむ母狐。娘に化けて男をだまそうとするが、反対に料理屋に置き去りにされる。
子狐(こぎつね)
男から詫びのぼた餅を受け取り、寝込んでいる母狐に見せる無邪気な子ども。
料理屋の者(りょうりやのもの)
「勘定は連れが払う」という男の言葉を信じ、娘を起こして狐の正体に大騒ぎする店の人たち。
男の知り合い(おとこのしりあい)
男の自慢話を聞き、「狐は執念深い。祟られるぞ」とおどして謝りに行かせるきっかけを作る。
笑門亭福来(しょうもんてい・ふくらい)
漫画の冒頭と結びにだけ登場する、このシリーズの架空の噺家。原典には登場しない。

よくある質問

落語「王子の狐」はどんな話?

娘に化けた狐を見た男が、逆に狐を料理屋に置き去りにして勘定を押しつける話です。祟りを恐れた男がぼた餅を持って謝りに行くと、母狐はそのぼた餅すら疑います。

「王子の狐」のオチの意味は?

母狐の「馬の糞かもしれない」は、昔話で狐が馬の糞をぼた餅に見せて人に食べさせるいたずらを逆さまにしたものです。化かすはずの狐が人間を疑うようになった、という立場の逆転が笑いどころです。

王子はどこ? なぜ狐なの?

王子は今の東京都北区にあたる地域です。関東の稲荷の中心とされる神社があり、江戸時代から狐の名所として知られていました。

漫画に出てくる噺家の笑門亭福来は実在の人物?

いいえ、このシリーズのために作った架空の語り手です。原典の落語には登場せず、漫画の冒頭と結びにだけ出てきます。

日本では狐はなぜ人を化かすと言われるの?

昔から各地の昔話や言い伝えで、狐は人に化けたり幻を見せたりしてだます動物として語られてきました。一方で稲荷の神さまのお使いとして大切にされる、特別な存在でもあります。

漫画を最初から読む(無料)